中小企業経営のための情報発信ブログ493:成功と挫折

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今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
うまくいかなかったからといって、決して悲観しないでほしい。一見、不幸に見えることも、実はそれが本当の不幸とは限らないからです。それも自分の人生だと受け入れて、与えられた環境のなかで前向きに明るく必死に生きていく。これが一番大事なんです。そうやって努力を重ね、真摯に生きていくことが人生というものを形作っていきます。その意味では、むしろ逆境のなかから這い上がっていく立場になったほうが、大きな収穫が得られるかもしれません。私の人生がまさにそうでした
これは、2009年11月13日に稲盛和夫氏が、就職ジャーナル「企業TOPが語る『仕事とは?』」の中で語った言葉です。ビジネスだけでなく人生を生き抜くうえでも役に立つ言葉だと思います。
これまでトヨタ自動車の経営については、何度かトヨタ式生産方式などで触れてきました。今日は異端児ともいえるマツダを取り上げます。
マツダは、2020年に会社創立から100周年を迎えました。その創立記念式典で丸本社長は、「良い時も厳しい時も、ステークホルダーの皆様の支えがあったからこそ今日を迎えることができました」と挨拶し、「社会的責任という大義を全うし、走る喜びを求めるお客様も技術を提供するという二つの視点で今後の100年を乗り切りたい」と話しました。
マツダは、1920年に広島で創業し、失敗と成功、何度も倒産と吸収合併の危機を乗り越えながら、今日まで生き延びてきました。トヨタのような大メーカーでない分、個性派の道を歩み、異端児として挑戦し時に挫折しながら、画期的な車や技術が生み出されました。
1920年に東洋コルク工業として創業し、1927年に東洋工業に改名、自動車の開発に乗り出しオート三輪の生産に乗り出したのが1931年です。オート三輪の分野で日本を代表する自動車メーカーにのし上がりましたが、1945年の広島への原爆投下で大きな被害を受けました。東洋工業の社員は一丸となって会社の建て直しに取り組み奇跡的な復興を果たします。しかしオート三輪の先細りが懸念され、四輪トラックの開発、乗用車の生産にも乗り出しました。
1960年に「R360クーペ」62年に「キャロル」を販売し順調に販売を伸ばします。当時、通産省は、体力のない日本の自動車メーカーが共倒れになることを危惧し新規参入を阻止し、業界の再編成を画策していました。そうした状況で、マツダは、軽自動車だけでは生き残れない、独自の魅力がないと買ってもらえないと社運をかけて革新的な「ヴァンケル・ロータリーエンジン」の開発に乗り出し、このロータリーエンジンに夢を託すことになります。ロータリーエンジンの開発には乗り越えなければならない壁が多く存在し、マツダは経営危機に陥ります。しかし、社員一丸となってこの危機を乗り越え、1967年にロータリーエンジン搭載の「コスモスポーツ」の販売にこぎつけます。
ところが、1970年代になると、厳しい排ガス規制とオイルショックに見舞われ、販売は低迷、再び倒産の危機に見舞われます。しかし、マツダの首脳陣・エンジニアはロータリーエンジンを捨てることはできず、「技術で叩かれたものは技術で返す」とクリーン化と燃費改善を成し遂げます。
1980年代には「ファミリアXG」が大ヒットし、東洋工業を黒字に導きます。1979年にはアメリカのフォードと資本提携し、1984年に社名をマツダに変更しました。この時期、積極的に海外事業を展開し、新しいブランドやバリエーションも大幅に増やしていきます。事業を広げすぎたために研究開発費や販売店の経費がかさみ経営を圧迫し、さらにバブル崩壊が追い打ちをかけ、再び経営危機に陥ります。1996年にフォード傘下に入りますが、この危機を救ったのが、「デミオ」「ボンゴフレンディ」です。
そして、2002年4月マツダは「Zoom-Zoom」のブランドメッセージを発信し、環境性能と安全性能の高いレベルまで引き上げながら、持続可能な未来の実現に向けて動き出しました。すべての人に「走る喜び」と「優れた環境・安全性能」を提供するために発表したのが「SKYACTIV」テクノロジーです。マツダは車の技術のすべてをゼロから見直し、常識を覆す技術革新で世界一を目指します。マツダが目指すのは、運転する楽しさやワクワク感を失うことなく地球環境に配慮したクルマ作りです。新世代の直噴ガソリンエンジンや直噴ディーゼルエンジンを積むマツダのニューモデルは国内だけでなく海外でも高評価で販売を伸ばしています。
何度も苦難を乗り越え不死鳥のごとく蘇ってきたのがマツダです。いつの時代でも打たれ強い不屈の闘志と進取の気性が未来に向かう原動力になります。
まさに、マツダは、冒頭の稲森氏の言葉を体現しているように思います。
今一度稲森氏の言葉を心に留めましょう。
・不幸と思える時も悲観するなかれ
・不幸に見えることも、実はそれが本当の不幸とは限らない。それも自分の人生と受け入れて、与えられた環境の中で前向きに明るく必死に生きていく。これが一番大事なんだ。
・努力を重ね、真摯に生きていくことが人生というものを形作っていく。むしろ、逆境の中から這い上がっていく方が大きな収穫を得られるかもしれない。
コロナ禍で多くの企業が苦境に立たされました。経営の危機を味わった企業も多いと思います。打たれ強い闘志と不屈の精神を持って社員が一丸となって先行きが見通せない時代を乗り越えましょう。刻一刻変化する環境の中で、前向きに明るく必死になって物事に取り組めば、逆境とチャンスに変えることができると思います。
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