中小企業経営のための情報発信ブログ426:ペーパーレスと生産性

記事
ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
日本マイクロソフト社が、2019年末から「週勤4日週休3日」制に挑戦するなど企業の生存をかけた働き方改革を行なっています。日本マイクロソフトでは就業規則に「出社不要」が掲げられ、緊急事態宣言発令(2021年4月)前から「本社出社率1.7%」まで低下していました。これは「出社するのが本当に生産性を向上させ、企業の価値を高めているのか」という問題意識です。「リモートワークは単なる福利厚生ではありません。企業が優秀な人材を集め、組織としての勝ちやブランドを高めていくために必要な経営戦略の1つ」です。日本マイクロソフトが導入した「週勤4日週休3日」はただ休みを1日増やしただけではなく、その結果、ペーパーレス化リモートワークの活用、1時間以上の会議から30分会議への移行、積極的な人材交流などによって労働生産性を上げているのです。
働き方改革の一環としてペーパーレス化も重要な意味を持ちます。新型コロナの影響もあり、リモートワークと相まってペーパーレス化は避けて通れないものとなっています。以前緊急事態宣言下で「書面にハンコを押すためだけに出社する」ということが問題となりました。このように、紙を使う業務は世の中の空気を読まず、人を場所に縛り付けてしまいます。デジタルへの移行が可能である業務であっても、紙とハンコに拘る企業は少なくありません。しかし、日本マイクロソフトでは、外部の顧客に対して説明する際に使用する資料以外はほとんどペーパーレス化が進み社内業務の9割がペーパーレス化されています。紙に拘らなければ、場所の制約を受けることなく仕事ができ、情報のやり取りが可能です。どうしてもハンコが必要ならば電子印鑑も法的に問題はありません。
それに紙の情報は古いのです。紙で会議用の資料を作成しても、前日までに作成しプリントアウトしていれば前日までのデータになります。誰でもリアルタイムでアクセスできる環境があれば、会議で最新データにアクセスできます。
スピード感のある企業は、〇月〇日〇時からというような固定的会議だけではなくビジネスチャットで話していた流れですぐにリモート会議が立ち上がり、関係者を巻き込むというケースが当たり前になっています。このような時にあらかじめ作成された紙の資料などありません。今あるデータにアクセスして議論が進められます。
これは「紙の資料はやめましょう」のレベルの問題ではなく、紙文化ではこれからのコラボレーションを前提としたビジネス環境には全く対応できないのです。
また、「情報共有」の観点からペーパレス化を考える必要があります。情報共有には「今、この場で情報を共有する」と「時間差で共有する」の2つがあります。紙文化は、「限られた人だけ」の情報共有スタイルで、クローズドな情報共有スタイルと言っていいものです。それに対し、デジタル化された情報は、時間差、すなわち非同期の情報検索と共有をしやすくします。オープンで、コラボレーションしやすい環境を実現するためにもペーパーレス化は避けて通れないのです。限られた空間で行われる「井戸端会議型意思決定」ではベテランだけが仲間内で結託し、若い層のモチベーションを著しく下げているケースもあります。情報がクローズドになりやすい制度や文化では、それだけで働く人の意欲を下げ、ひいては企業のブランド価値も下げてしまいます。
しかし、日本マイクロソフト社のように、出社率を数%にしたりペーパーレス化を9割達成するというのは並大抵なことではありません。特に中小企業の場合、出社が必要な業務が多くテレワークに向かない業務が多くあります。
出社が必要な業務とテレワークでできる業務とをしっかりと区分けしてメリハリをつけて「週のうち〇日出社、〇日在宅勤務」というようにテレワークを導入すべきです。また、ペーパレスについてもペーパーが必要なものと必要ないものを区分けして必要ないものから順次ペーパレスに取り組みましょう。少しずつ自社の状況に合わせて取り組むべきです。「世間の流れがこうだ」からとすぐに飛びつくことは得策ではありません。自社に合うものと合わないものがあります。それを見極めながら徐々に取り入れながら状況に合わせ修正していくという方法が一番です。何事も臨機応変に対応することが重要です。
2023年1月から大幅に要件が緩和された電子帳簿保存法の導入が拡大しつつありますし、2023年10月からは消費税インボイス制度が始まります。大企業のみならず中小企業もこれらへの対応が求められます。電子化で対応することにより経理のDX化を高める良い機会になります。これらについては、後日、詳しく書きたいと思います。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す