中小企業経営のための情報発信ブログ408:ブランド戦略

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株式会社良品計画の無印良品を例にブランド計画について見てみます。
まず、無印良品がアジア新興国でヒットした理由です。無印良品はわが国においてその人の価値観にあった生き方を支える商品を提供することで成長し、それがアジア新興国でのヒットにつながったのです。無印良品は大量生産・大量消費とは異なるライフスタイルを提唱し、シンプルな機能やオーガニックコットンなどの素材の風合いを長く味わう楽しみを提供するブランドとして成長し、無印良品は安心できるというイメージが生まれ、量産品より割高だが使いたいという人が増えて持続的な成長を遂げてきたのです。海外、特にアジア新興国で、このブランドイメージが消費者を魅了し、日本国内での生産や規格に基づく安心・信頼できるブランドとして認知され、「少し値は張るが使い心地がいい」「日本製の良い物を使っているという優越感」のようなものが醸成されたのです。
ところが、良品計画は、「やや割高」というイメージを払拭しさらなる購買意欲につなげようと、2020年に海外生産と値下げという戦略に切り替えます。これによって、良品計画の思惑とは異なり、「日本での生産による安心・信頼」「割高だが良い物を使っているという優越感」を低下させ、海外での客離れが生じたのです。無印良品は、メイドインジャパンで割高だが良い製品というブランドイメージを自ら壊してしまったのです。ブランド戦略としては失敗だったのです。
1.ブランドの機能
 ブランドの本質は、顧客がそのブランドに対して抱くイメージです。企業は、ブランド・ロイヤルティーの高い顧客を増やすとともに、様々な手段でブランドの開発と維持・管理を戦略的に行うことが重要な課題となっています。
 ブランドには、2つの側面があります。1つは、その名前・ロゴマーク・色彩・デザインなどの形式的な要素によって、競合他社の商品と異なる商品として識別されるということです。もう1つは、顧客の心の中にブランドイメージを形成するということです。
 ブランドは、買い手である顧客にとって様々な機能を持っています。
 まずはブランドの識別機能です。買い手は、ブランドによってその商品に関する情報を容易に取得して判断できるのです。「無印良品」というブランド名やロゴがこれに当たります。
 次は、ブランドの品質保証機能です。ブランドがその商品の品質を示してくれるので顧客は購入のリスクを減らし安心して購入できるのです。無印良品で言えば、「日本での生産による安心・信頼」というところです。
 次がブランドの情緒的機能です。買い手は特定のブランドを買うことで他者に優越感を抱いたり感情的な経験をすることができるのです。無印良品で言えば、「割高だが良い物を使っているという優越感」がこれに当たります。売り手である企業にとっては、買い手に好意を持ってもらい、ブランド・ロイヤルティーを持ってもらうことが重要になってきます。ブランド・ロイヤルティーの高い顧客は、他の製品よりも高い価格を支払ってでもその商品を買ってくれるのです。
2.ブランド戦略
 ブランドの管理を進める際には、基本的なブランド戦略を決める必要があります。
 まず、ブランド強化戦略です。これは、既存市場で既存ブランドを用いて戦う戦略で、ブランドの市場への浸透が不十分な場合や他のブランドとの競争が激しくなった場合に採られる戦略です。次にブランド・リポジショニング戦略です。これは既存ブランドのまま新しい顧客を求め新規市場で戦う戦略です。既存ブランドをそのまま展開し新たな顧客を獲得できれば売上増につながります。
 次に、ブランド変更戦略です。これは、既存市場に新たなブランドを投入して戦う戦略です。悪化したり低迷したりしているブランドイメージを捨てて消費者へ新しいブランドで鮮度を訴えるものです。
 最後にブランド開発戦略です。これは、新規市場に新規ブランドを打ち出して戦う戦略です。既存ブランドを活かせないというデメリットがありますが、新規ブランドで新たな顧客獲得ができれば売上増につながり、ハイリスク・ハイリターンの戦略となります。
ブランドは、管理の仕方で価値が増減します。強力なブランドを育てることは、目先の利益や売上とは次元の異なる重要なものなのです。
このことは大企業だけの問題ではありません。中小企業においても自社のブランドを育てそれを管理することが重要になります。自社ブランドを築き上げる努力をしてください。
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