中小企業経営のための情報発信ブログ320:DXの重要視点・要点

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
これまでもDXやデジタル化については書いていますが、更にDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をよく耳にするようになり、デジタルトランスフォーメーションに本気で取り組もうとする企業も増えています。
1.DXとは
 デジタルトランスフォーメーションというのは、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念で、ビジネス用語としては多義的に用いられていますが、おおむね「企業がデータやデジタル技術・テクノロジーを用いて組織やビジネスを変革し続け、価値創造を抜本的に変えること」です。と言ってもなかなか理解しにくいものですが、次の3点で定義づけすればわかりやすいと思います。
Ⅰ:新しい製品・サービスにより企業が競争優位を確立すること
 Ⅱ:そのためにデジタルやデータを利活用すること
 Ⅲ:このためには企業はすべてで変革を伴うこと
このようにDXは「ITを活用してビジネスモデルや組織を変革すること」を意味しますが、その目的は「企業の競争優位を確立すること」です。
IT化という言葉もよく使われますが、IT化は業務効率を高めることを目的とするもので、DXはそれを手段として組織の変革を進めるものです。
以前から何度か言っていますが、IT化にしろDXにしろ、それ自体が目的ではなく、IT化については「業務効率の向上」、DXについては「組織やビジネスの変革」「競争優位の確立」という目的達成の手段にすぎません。
DXの導入を誇らしげに語る企業もありますが、導入が目的ではなく、その先にある「組織やビジネスの変革」「競争優位の確立」が達成できたか否かが重要なのです。
2.DXの現状と課題、解決策
 「世界から周回遅れ」と批判される日本企業ですが、実際にDXに取り組んでいる企業が60%、計画中の企業を含めると70%にも上っているようです。しかし、こうした企業でもどこまで本当にDXの在り方を理解し、対応しているかというと疑問です。
 DXの計画・取り組みについて3つの点が重要です。
Ⅰ:既存業務の効率化というDX・・・既存業務の効率化、特にシステムへの置き換えは、業務内容そのものを大きく変化させないので手を付けやすく、効果算定も定量化しやすく、失敗も少ないという理由から、取り組みの第1位とされています。
Ⅱ:データに着目したDX・・・「DXではデータの活用が不可欠なので、活用する際の下準備やインフラ作り」ですが、単にデータの統合化や一元管理を行っただけでは、ビジネス面での効果につなげるのは難しいのが現実です。データを集めて何がしたいのか見えてこないと言ったケースも多いのです。
Ⅲ:現行システムの作り直しもDXという流れ・・・「現行システムの再構築」(モダナイゼーション)ですが、必ずしも「新しい業務機能の提供を主たる目的としていない」のです。しかし、これもDXとされています。
 先ほども言いましたが、DXは目的ではなく手段です。DXの目的と手段を次のように意味付けすれば、分かりやすいと思います。
目的:企業が競争優位や行きの頃を図るために、新しいビジネスやサービスを、顧客や市場に提供していくこと
手段:そのためにデジタルとデータを活用し、それを可能にする企業(業務・組織・プロセス・文化など)となること
 既存業務の効率化、データの統合、基幹システムの刷新の必要性を否定しているわけではなく、技術(デジタル)の活用という視点からの新ビジネス・サービスを考えていくアプローチを否定しているわけではありません。
しかし、「『目的』なき『手段』の遂行が賢いやり方とは言えないのです。
「目的」が何かを明確に認識しそれに向けての「手段」ととらえない限り、「手段の目的化」で終わってしまいます。
 経営の関心は、競争優位を確立し、ビジネスを成長させること・市場から退場とならないようにすることで、そのために既存ビジネスを成長させる、それに限界が感じられたら新規事業への進出・展開を目指すことです。そうした目的のための手段がIT化なりデジタル化なりDXなのです。手段と目的をはき違えてはいけません。
  これは政府の政策にも言えることです。デジタル庁の創設にしろ、デジタル化の推進にしろ、それらの言葉が独り歩きしてそれ自体が目的化しています。必要なのは国家や社会についての明確なビジョンです。どのような国家や社会を目指すのかと言ったビジョンを国民に分かりやすい丁寧な言葉で示し、そのための手段として何を為すべきかを明らかにする姿勢が求められるのではないでしょうか。
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