中小企業経営のための情報発信ブログ287:リスクマネジメント

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コロナ禍だけでなく、刻一刻変化し続ける社会や環境の中、企業が抱えるリスクは増大しています。これまで経験したことのないようなリスクも多く、経営者やリーダーにとって、「いかにそれらのリスクをマネジメントしていけばいいのか」が大きな課題となってきています。
1.何を達成するためのリスクマネジメントなのか
 リスクマネジメントで重要なことは、「何を達成したいのか」を明確にすることです。企業には、大企業だけでなく中小企業においても、組織が目指すべき方向性を示すものが多く存在します。経営理念やビジョン、バリューはその典型ですが、それらを明確に文章化していなくてもその企業に流れる風土や文化は必ずあります。中長期計画や単年計画の中にも、企業が目指すべき方向性は示されます。
 リスクマネジメントというのは、近い将来から遠い将来まで、これから発生するかも知れないリスクを洗い出し、それらのリスクを回避するための管理活動です。ここでいる「リスク」は「今後発生する不確定事象」のことで、マイナスの影響を及ぼすことだけではありません。思わぬ出来事で企業に利益をもたらすものもリスクとなります。
 リスクマネジメントと似た言葉に「危機管理」という言葉がありますが、これは、事業の目標達成や事業継続を脅かすような危機が発生した際に、その影響を最小限に食い止めるとともに、危機的状況からいち早く抜け出し、正常の状態への回復を図るための管理活動です。
 リスクマネジメントにおいて、重要なのは、「何のために行なうのか」という目的です。リスクマネジメントを行うことで、「何が達成できるのか」ということです。この目的を明確にしないと、リスクマネジメントは「リスクマネジメントのためのマネジメント」で終わってしまいます。結局は何の役にも立たず、絵に描いた餅になってしまうのです。
2.「目的」と「目標」の違いを理解する
 「目的」を明確にする必要があるのとともに「目標」を明確にする必要もあります。ここで大切なことは、「目的」と「目標」は違うということです。
 「目的」というのは「何のために(Why)」の答えであり、「目標」は「何を目指すのか(What)」の答えです。目標は目的を達成できたかどうかを測るための指標であり、測定可能な指標であることが望ましいのです。例えば、「売上アップ」という目的を掲げれば、いくらの売上が達成できれば目的が達成されたと言えるのか、その数値(例えば売上1億円、前年比3割増)を決めなければなりません。それが目標です。
 このような定量指標を定めないことには、リスクマネジメントでどれだけ頑張るべきか、その結果、目的達成に貢献できたかどうかも、判断できないことになります。
 リスクマネジメント活動の仕組みの継続的改善を図るためにも目標は必要になります。それは、測定できないものは改善できないからです。
3.リスクマネジメントと危機管理
 リスク管理では、事業目標達成や事業継続を妨げるようなリスクについて細部まで考えを巡らせて今後発生するかも知れないリスクを想定し、そのリスクに優先順位をつけて優先順位に応じた対策をとることです。
 一方で、危機管理は、すべての企業が等しく陥る可能性がある危機的状況に対し、実際に危機的状況に陥った際にどういうプロセスで被害を最小化し、できるだけ早く正常に戻すためにどうするかを計画することです。
 両者は異なるものですが、往々にして同じように捉えられています。この違いを意識しながら、リスクマネジメントと危機管理の両方で対策を考えていく必要があります。  
 危機管理において重要なのは、危機が発生する前の、危険予知・予防・発生時の準備です。危機が発生してから慌てては失敗するだけです。危機的状況を余地・予防するとともに、仮に回避に失敗したときに備えて対処の方法を平時から準備しておかなければなりません。
 十分な準備を行なった上で
Ⅰ:現在発生中の被害を最小限に食い止めること
 Ⅱ:危機のエスカレーション・2次被害を防止すること
 Ⅲ:危機を収束させ正常な状態に戻すこと
の3つが大切です。これができなければ危機管理は失敗です。政府のコロナ対策はこの3つのいずれもできておらず、完全に失敗と言って良いでしょう。
 企業も政府と同じ轍を踏まないために、しっかりとした危機管理やリスクマネジメントを行なう必要があります。
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