中小企業経営のための情報発信ブログ192:部下への「仕事の任せ方」

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
これまでも何度も書いていますが、部下の育成方法は「認めて、任せて、褒める」です。ところが『任せて』ができていない上司が多いのです。すべて自分で処理しないと気が済まないというわけです。しかし、上司やリーダーの仕事は、自分が率いている部下(メンバー)と同じ仕事をすることではありません。その人たちを率いて仕事をさせること、それによってチームや組織の生産性を高めることです。
人間誰しも与えられた時間は1日24時間(1440分)しかありません。そのうち仕事に振り分けられるのは、せいぜい8時間(480分)です。この限られた時間の中で優先順位をつけ振り分けていくことができるかが上司の資質です。以前にも書きましたが、『何をやるかではなく何をやらないか』を決めることが重要になってきます。
すべてを引き受け、何でもかんでもやろうとしていたのでは、実際できませんし、潰れてしまいます。「自分がやらなくてもいいこと」を決めて、それを他の人(部下)に任せればいいのです。
1.「できるようになってから任せる」は間違い
 部下に仕事を任せられない人の特徴は、「できるようになってから任せる」という間違ったパラダイムにあります。
 「できるようになってから任せる」と言ってすべて自分でやっていたのでは、部下は成長しませんし、できるようにもなりません。延々自分がやり続けることになるのです。部下を成長させるためには、突き放して任せてみることです。当然最初は失敗するかも知れません。失敗すればそれをフォローしてあげればいいのです。「失敗は成功の母」、失敗から学んで成長するようにするのです。できるようになってから任せるのではなく、任せるからできるようになるのです。「痛い目に遭う」から成長するのです。
 上司が、そういう度量を持てるかでチームや組織は違ってきます。
2.目先の失敗と2年後の失敗
 任せられない上司の特徴の一つは「未来を見ていない」ということです。目先の失敗と2年後の失敗とどちらが大切かが見えていない・分かっていないということです。
 目先の失敗とは、『クライアントに叱られる』『スケジュールが遅れる』といった部下に任せることによって生じるトラブルです。一方で、2年後の失敗というのは、2年経っても部下が成長しておらず、上司が走り回っている組織です。
 2年後の失敗が見えていない上司は、目先の失敗ばかりを気にして、部下の小さなミスを突くような指摘をして、何でもかんでも自分で処理しようとしてしまうミクロマネジメントにとらわれています。
 会社や経営者にとって最も重要なのは、人が育ち、それによって組織が成長することです。部下から失敗という成長の芽を奪い、成長の邪魔をするのがいかに組織にとってマイナスかが分かるはずです。
 「部下に任せる」という器を持つということは、目先の痛みに耐えるだけでなく、未来を見る力を持つということです。
 「このまま自分が何でもかんでも引き受けて走っていれば、2年後には部下は成長しておらず、このチームや組織は潰れる」ということをどれだけ寒気がするほどの恐怖心を持って感じられることが重要で。
3.「自分でやった方が早い病」
 人を動かすというのは難しく、イライラします。「イライラするくらいなら自分でやった方が気も楽だし早い」と誰もが思います。でも、この「自分でやった方が早い病」を克服しないとどうにもなりません。ところが、この克服は厄介で、一度痛い目に遭わないと克服できないものです。
 「自分でやった方が早い病」に罹っていると、業務が回らなくなりパンクするか、過労や病気で倒れてしまいます。
4.「作業」ではなく「責任」を任せる
 「自分でやった方が早い病」を克服するためのポイントは、「『作業』ではなく『責任』を任せる」ということです。ただ「任せる」だけでは部下は変わりません。「任せる」ということは当然そこには責任も負わせなければなりません。「作業」だけを任せても単に技が伸びるだけですが、「責任」を負わせることで、プロ意識・責任感・自発性といった仕事で重要な心(心技体でいう心)も育つのです。
5.「任せる」と組織も変わる
 上司が任せることで、部下の「責任をとる力」が育つし組織も大きく変わります。
 Responsibility (責任)という言葉は Response(応答 対応)と Bility(可能性)が合わさった言葉です。「責任をとる」ということは、「自分が対処する、対処できる」ということで、局面を打開するということです。
 一人ひとりが「責任をとる力」を身につけ、局面に対処できる組織は強くなります。
 上司が部下に任せても、上司がすべての責任を負っていたのでは、部下の成長には繋がりません。ある程度責任を負わせることが必要です。しかし、あまりにも重い責任では部下は折れてしまいます。成長させるにはギリギリ耐えられるくらいの責任を負わせることです。この見極めは難しそうですが、ここでも部下とのコミュニケーションをとりながら、部下を知り理解し、部下が耐えられるギリギリの線を見極めることが大切です。
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