このブログでも何回か取り上げた中高生世代の10代女性を支える活動を推進すると言い張るNPO Colabo の弁護士団の一人 角田由紀子氏の発言が問題になったことがあります。
彼女は、「アダルトビデオっていうのはですね、まさに女性を性的に虐待してですね、そのことを娯楽にしてる類のものなんですね」と主張したんですね。
これに対して、AV の出演者等が受ける職業差別解消のための活動を展開する団体sienteが正式に抗議しています。
一方、Colabo 擁護派として知られる社会活動家 藤田孝典氏は以下の発言をして物議を醸しました。
「コンドームは避妊具と言います。赤の他人のおじさんの子どもを妊娠して育てたい、と家出少女は思わないですよね。
おじさんは射精する相手は誰でもいいから、少女はお金をもらいつつ、最低限の避妊具をつけて身を守る必要があります。
避妊具を買うお金もないので支援者は配りますよね」
これではColaboが売春を奨励していると取られかねません。
そのため、Colabo側からは有難迷惑のキモいおじさん扱いされています。
ところで、導入部が長くなりましたが、実は、私が興味があるのはAVや売春に対する世間の意識なのです。
角田氏の発言に激怒したAV女優の皆さんは自分たちの仕事に誇りをもっています。
そして、自分たちは売春婦とは違うと主張したりします(何かのインタビューで聞いた覚えがあります)。
つまり彼女たちの意識でも、売春は悪いことまたは軽蔑に値することとなっているわけです。
また、Colaboが売春を奨励しているとの噂に怒るのも、売春についてネガティブなイメージを持っているからでしょう。
しかし、売春とは本当に悪いことなのでしょうか。
私は、昔から疑問に思っていました。
「自分の所有しているもの(この場合は肉体、さらに言えば性器)を提供して、お金を貰ってなにが悪い。他の商売とどこが違う」といわれてきちんと反論できますか。
一応いっておくと、「悪いものは悪い」や「 昔からそう決まっている」といった感情論は意味がありません。
それでは議論になりませんから。
と、いろいろと考えていたところに、非常に刺激的な本の存在を知りました。
「売る売らないはワタシが決める―売春肯定宣言」です(共著者 : 要 友紀子、小林 のん、滝波 リサ、国江 響子、佐藤 悟志、松沢 呉一)。
現役のセックスワーカー(後で説明します)も何人か参加していて、題名からわかるように買売春を肯定しています。
この本を読むと買売春についての自分の認識が甘かったことがよく分かります。
「内容説明」の文章を引用しましょう。
性的な行為をして金銭を授受することはいけないことなのか否か。答えを出すのが非常に困難にも思えるこのテーマだが、あえて困難な議論を持ち込もうとすることによって、答えが出ないようにしている人々がいるだけなのではないか。そう疑わないではいられない。
買売春を否定する人々のほとんどは、様々な詐術さえ弄しながら、買売春憎さのために、杜撰極まりない言論をばらまいている。
「性的な行為をして金銭を授受することはいけないことなのか否か」を真摯に論ずるためには、一度これらの言論を整理し、ノイズを排除する必要がある。
その作業は、性の現場をろくに知らないくせに知ったようなふりをして語る人々ではなく、現に性労働に従事する者たち、その現場をよく知り、理解している者たちが適任であり、彼らが異議を申し立て、誤りを修正する必要があるだろう。
本書の発刊によって、これまで無批判に垂れ流されてきた、お話にならない買売春否定の言論がひとつでも減ることを望みたい。(引用終わり)。
長くなるので明日に続きます。
では