昨日の続きです。
親近感を深めるための、もう一つのテクニックとして、バックトラッキングというものがあります。
簡単にいうと、相手の言ったことを返す、つまり、「オウム返し」ですね。
注意すべきは、相手の使った言葉や表現をできるだけ使うのであって、相手の話した言葉をすべて同じように返すのではないことです。
具体的には、3つの方法があります。
まず、相手の話した事実を返す。
相手の話した感情を返す。
相手の話を要約して返す、ですね。
基本的には、相手の話している事実を反復するわけですが、話の中で相手が自分の感情を表す言葉を発した際、例えば「なるほど、悔しかったんですね」といった感じで感情表現を返すと、この人はわかってくれていると思って貰えます。
また、話しが長くなった場合は、話がひと段落ついた時に、その内容を要約して返してもいいでしょう。
さらに、話す内容、しゃべり方、LINEやメールなどに「頻繁に出てくる単語」を真似て使うようにします。
単語以外にも、方言によるイントネーションや、独特の言い回しなども、それとなく真似してみてもいいですね。
ただし、揶揄していると思われる可能性がありますから、注意が必要ですが。
相手への合わせ方について、もう少し詳しく説明します。
話し方を合わせる時は、声の調子やスピード、大小、音程の高低、リズムなどに注目し合わせていきます。
状態を合わせる時は、明るさや静けさ、感情や興奮状態などに合わせていきます。
呼吸を合わせるときは、相手の肩や腹部の動きを観察し、同じ呼吸のリズムを取るように合わせていきます。
当然、このためには細かく観察するテクニックが必要になります。
このテクニックをキャリブレーションといいますが、要するに、相手の心理状態を、相手の顔の状態、呼吸の深さ・浅さ・スピード、皮膚の色、目の動き、まばたき、声のトーン・スピードといった言語以外のサインで認識することですね。
例えば、何か心配ごとがある時には、口では「大丈夫」と言っていても、声のトーンや顔色や表情からは沈んだ様子が見て取れるでしょう。
それに対して、楽しい体験を思い出している時には、声がはずみ、血色が良くなり、口元を緩ませてその体験を語っているはずです。
このキャリブレーションは、意識し、訓練することで上達します。
人と話をする時にはやってみてください。
ただし、何度も言いますが、あからさまにはならないように注意してくださいね。
これにより、ほんの些細な変化も察知できるようになります。
そして、結果として、部下や同僚の信頼を得、全体的に云えば、対人関係を改善できるようになるわけです。
では。