初めまして。
都内で音楽家として活動する傍ら、ミックスエンジニア・MIX師としても活動しておりますBackyしば丸と申します。
今回は音楽家として生計を立てられるようになってから10年、独学で取り組んでいたミックスをお仕事としてやらせていただけるようになってから4年の私から「初めてミックスという作業をしてみる」方へ向けて大事な【考え方】をお伝えさせていただきます。
「いやいや、ノウハウやコツが知りたいんだよ」
という声が聞こえてくる気がしますが結論から申し上げますと、
この記事に書いてあるようなことを抑えずにノウハウやコツだけを表面的に収集していっても、目指している地点へはほぼ間違いなく辿り着くことはできません。
どこかで必ずこの記事で書いてあることに気づき、それを踏まえて色んなことを「やり直す」日がやってきます。
今、この記事に辿り着いたあなたは幸運です。
何度かに分けての更新になりますが、
以下でお伝えすることは必ずあなたの役に立つことでしょう。
Part1.完成形をイメージをする
初心者の方がミックスをするとき、検索窓によく打ち込まれる言葉があります。
ミックス_やり方
良いミックスのコツ
コンプ_かけ方
とかですね。もちろんこれらの情報は非常に有用ですし、その先で勉強できる知識はあなたにとって重要なものになるでしょう。
様々な方がそれぞれの視点からアドバイスを発信しています。
その中から、自分に必要なものを選んでいく作業が次に始まるのですが…。
多くの人が実はここで一つ目の躓きを経験します。
「どれが正しいのか」
「どのやり方が自分が求めている音になるのか」
それがわからない、という現象です。
ミックスは料理と似ています。
料理をする時には一番最初に何をすると思いますか?
それは、【何を作るかを決める】ということから始まります。
作りたいものがあるから、必要な素材を集めることもあれば
ある素材から作るものを決めることもありますが、
いずれにせよ、料理に取り掛かる時にはある程度「完成系のイメージ」を作ってから臨みます。
実はこれがとっても大事なことです。
同じような材料が手元にあっても、
チャーハンを作るのか
ピラフを作るのか
炊き込みご飯にするのか
いずれにするのかで全く作業の工程は違います。
使う油も違うし、味付けや火を入れる順番なんかも違います。
作りたい料理があるから、
「チャーハンの作り方」
を調べることができるし、ピラフのレシピではなくチャーハンのレシピを参考にすれば自分が求めている完成系に近づけるんだ、という当たり前のことに気づくことができるのです。
ミックスも同じです。
ボーカルデータ・オケの2Mixや楽器の演奏音源が全く同じでも、求める完成系が違えば全く違う作品が出来上がります。
逆にいうと、完成系をイメージせずにスタートするとほぼ確実に迷子になります。
仮にそれっぽいものが出来上がったとしても、比較する対象がないので「これがあってるのかどうか」を判断する基準がないという状況に陥ります。
ここからはもう少し具体的に。
『歌ってみた』の作品をミックスするのであれば、
その原曲であるとか、既に公開されている別の方の動画の中から自分的に一番しっくりくる、もしくはそれに近いものを探してきましょう。
その音を沢山聴いて、「それに近づけるように」ミックスをしましょう。
ボーカルがケロケロボイスなのであれば、ケロケロの作り方を調べたり、
ハモリの作り方を調べたりできるはずです。
色んなノウハウを調べる際にも、自分が何を目指しているのかを理解していれば効率が飛躍的に向上します。
こういった「完成系」のイメージを既出の作品に求めることを「リファレンス」と言います。
オリジナル曲である場合も、かならずリファレンスする楽曲を決めましょう。
もちろん全く同じ曲はありませんが、似たような楽器の編成の曲、世界観が似ている曲、そういったものから探していくのがお勧めです。
そしてその音を、自分がミックスする音源よりも濃く長く聴くこと。
初心者の間は、オリジナリティや独自のアイディアを盛り込むのは後回しです。
まずは基本となる先人が残してくれたものを吸収し、自分のものとすることが大切。
ミックスの実際の作業に取り掛かる前に、
「完成系のイメージ」をしっかり作り、できるだけ具体化できるようにリファレンス音源を用意しましょう。
いかがだったでしょうか。
Part2は次回の記事でお届けします。
よかったらまたチェックしてみてくださいね。