弓道の昇段審査は、
毎回足が震えて胃が痛くなるくらい緊張の連続でした。
失敗の連続だった私に
「いつもより上手に引きたい、いつもよりかっこよくやろう」
その気持ちこそが自分が闘うべき相手だと
教えてくれたことがあります。
弓道は、闘う相手のいない武道です。
27m向こうにある的は、動くこともせめてくることもありません。
ただ静かに、自分の正面にたたずんでいるだけです。
それに対して、あたふたと動いているのは、
自分自身の心だけなのです。
晴れの舞台では、どんなにとりつくろっても
結局は素の自分が出てしまいます。
私は先生からこう問いかけられた気がしました。
「あなたのいつもってどんないつも?」と。
その時私のいつもは
ひとつひとつの動作が雑でおろそかだったと気が付きました。
それから、弓道でも人生でも
大事な場面や晴れの舞台で、
いつもどおりの自分を出せるようにと
今日もせっせといつもを磨いています。