最近の労働災害の発生傾向について

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コラム
令和2年1月1日から12月31日までに発生した全産業の労働災害の発生状況について厚生労働省(以下、厚労省)にて開示されているデータを元に 労働災害の発生傾向を見ていきましょう。

1.死亡者数
 令和元年は845人、令和2年は802人で43人減(5.3%減)で、減少しました。

2.休業4日以上の死傷者数
 令和元年は125,611人、令和2年は131,156人で5,545人増(4.4%増)で、増加しました。

 厚労省のデータは昭和49年から公開されていますが、平成21年までは、死亡者数・休業4日以上の死傷者数ともに減少傾向でした。

ところが、平成22年以降は、死亡者数は減少する一方で、休業4日以上の死傷者数は増加傾向にあります。

なぜそのように変化したのかは、厚労省の報告書には記載されていませんが、平成15年に製造業務への派遣労働の解禁後、平成20年9月のリーマンショックによる産業構造の変化もあり、みなさんの職場が多様な労働条件の方と一緒に働くようになったこと、及び労働者の高齢化の進展もその要因の背景にあることなどが影響したことが考えられます。

3.労災の多い業種は?
休業4日以上の死傷者数が増加傾向にある主な業種は以下の通りです。(令和元年→令和2年)

・陸上貨物運送事業(15,382人→15,815人)
・社会福祉施設(10,045人→13,267人)
・小売業(14,666人→15,341人)
・飲食業(5,141人→4,953人)

コロナ禍の影響による巣ごもり需要で、通信販売の増加が運送需要の増加を招き、陸上貨物運送事業は増加傾向です。皆さんが日頃よく利用されている通販サイトの物流センター内や宅配会社で多く労災が発生しました。一方、飲食業はやや減少しました。

令和3年も同様の傾向となっていることを鑑み、主に首都圏を所管する労基署では、過去5年間で2回以上労働災害の発生した事業場を中心に事業所への立ち入りや指導を強化しているようです。

十分にご注意ください。

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