【はじめに】
みなさんは「金縛り」と言われるものに遭ったことはありますか ?
ある調査によれば、成人の約 40% もの人が一度は経験しているそうなので「アリ」って方も多いでしょう。
個人的には最近こそありませんが、若かりし頃はしょっちゅう。
初めて経験したのは高校在学中で、それはある定期試験の前夜のことでした。
試験勉強に疲れ果て、机に伏せてウトウトした直後に自分の体からもう一人の自分がふわ~っと抜け出し、天井にペタリと張り付いて真下の自分を見下ろしている、といったものでした。
体の感覚としてしっかり “伏せている感” はあるものの、全身ピクリとも動かせず目も開けられません。
なのに “視界” はすぐ上から自分の寝姿を見下ろしているといったパラレルな状況。
夢のようにおぼろげな感じは一切なく、頭の中ではきっちりと思考が働き自分の中ではどう考えてもリアルな現実。
『これは “幽体離脱” ではないか !? 肉体に戻るにはどうすればいいんだ !?』
などと真剣に焦ったほどでした。
が…
結論はと言うと、その直後に一瞬気が遠のいた後ですべてが元に戻り、『絶対に夢なんかではない』と思った “幽体離脱” は間違いなく夢の中の出来事でした。
体をピクリとも動かせず、多くの場合息苦しさや “現実と錯覚するほどのリアルな怖い夢” を伴うとされる「金縛り」。
世界中のあらゆる地で “霊” だの “UFO” だの “悪魔” だのと関連付けられ古くより恐れられてきた現象ですが、現在そのメカニズムはある程度解明されており、ほとんどの場合 “霊” などスピリチュアルなものとはまったく関係ありません。
てなわけで、今回はこの「金縛り」なるものの原因やメカニズム、予防法や対処法などを記してみたいと思います。
「金縛り」って一体なに ??
「金縛り」とは本来は仏教用語ですが、1900年代半ば頃にテレビ番組などで使われたのをきっかけとして広く浸透しました。
その「金縛り」を簡単に一言で言ってしまえば “頭は起きているが体は眠っている” といった状態。
“体が眠っている” 以上当然に体を動かすことはできません。
そして、起きている頭も “ほんのちょっとだけは眠っている” ため幽霊が現れたりなどの怪現象を伴うのはその “ほんのちょっとだけ眠っている脳” が怖い夢を見てしまうからなのです。
通常の夢は “きっちり眠っているが眠りの浅い状態” で見るのに対し、「金縛り」中の夢は “ほとんど起きている状態” で見てしまうため現実との区別がつかなくなるってわけです。
そして、この異常事態と密接に関わっているのが、みなさんもよくご存知であろう「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」からなる約 90 分のサイクルです。