消化率を高めるためには

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美容・ファッション
「プロパー消化率65%を目指せ亅という記事を見かけたことがありますが、前職では70%を目指せと言われておりました。
たかが5%と思われるかもしれませんが、70%のハードルというのは取り扱ってる商品、商品上代、売上規模、店舗数、売場面積によっては相当キツい設定です。
例えばハンドバッグのブランドで全国10店舗展開、商品平均単価¥10,000、平均売場面積10坪、年間10億売るブランドがあったとします。1店舗年間1億売ればいいわけですからひと月に約830万、消化率70%だと毎月約1,200万分の在庫があればいいわけです。
点数に直すと1,200点の在庫。10坪のお店を埋めるには十分な在庫量と言えるでしょう。
しかもハンドバッグには人によってサイズを変える必要はありません。なので品揃えもサイズ展開を気にせずに発注ができます。
一方で紳士服はどうでしょう。
全国20店舗展開、商品平均単価¥50,000、平均売場面積50坪、年間10億売るブランドがあったとします。
1店舗年間5,000万売ればいいわけですからひと月に約420万、消化率70%だと毎月約600万分の在庫になります。
点数に直すと120点の在庫。これで50坪のお店を埋めるには至難の業です。
ほぼ全商品を店頭出し、しかも紳士服はサイズ展開が必要ですし、セットアップに至っては上下のサイズがドンピシャで合わないと売れません。結果、サイズがばらばらにジャケットやパンツが残ってしまい消化率悪化の要因になります。
と、これらはかなり極端な例ですが、このように取り扱いの内容やビジネス規模に応じて大きく状況が異なる為、一律の消化率では語ることはできません。
経営層は意外にもこの辺りの内容を把握しておらず一律に語りがちです。
数字だけを追わず、ちゃんと中身まで精査して見ないといけません。将来有望なブランドであっても消化率が◯◯と比較して悪いという理由だけで休止に追い込まれたりするのは非常にナンセンスです。
私は両方の状況を経験したことがありますが、やはり紳士服に関してはとても苦戦しました。
ただこんな状況でも消化率を上げる方法はいくつかあります。
・サイズ展開を極力少なくする
→サイズが豊富であれば当然ながらより多くのお客様に提案することができます。
しかしながらそれは在庫が残るリスクを多分に残っています。
ここは思い切ってターゲットとしているお客様に絞り込んでそこにむけたサイズ展開のみにします。
・定番品とシーズン品を分けて考える
シーズン品は半年間で消化率70%を達成できればいいのに対して定番品はオールシーズンで70%に到達すればいいとの観点から確実に売上が通年見込める商品を定番化し、一度に作り込むのではなく、在庫が減ってきたタイミングで継ぎ足し継ぎ足しで納品していきます。定番品は動きは遅いものの確実に売れていくものなので、シーズン品に組み込んで一気に作り込んでしまうと消化率悪化につながります。なので切り離して考えるのがベストです。
・アウトレットがあるなら期中品でも投入する
例えば秋冬ものは6月〜11月の期間でデリバリーがあるかと思います。
6月にデリバリーしたものは恐らくほとんどが9月になれば物流倉庫行き。クリアランスセールまで眠らせるしかありません。
であればそれをオフ率をあまり高くせずにアウトレット店舗やオフプライスの店舗があれば投入すると早期の在庫消化に繋げることができます。
・QR品を作る
QR(クイックレスポンス)つまりすぐに作り込みができる商品があれば一度に大量につくる必要がありません。継ぎ足し継ぎ足しで在庫リスケを極力なくし作り込んでいくことができれば消化率アップにつなげることができます。
・プロパー消化期間を少しでも長くする
クリアランスセールが一つの区切りとするのであれば、それまでのプロパー期間を少しでも長く保つことです。
1日、2日納品が遅れてもいいや、というマインドを無くし、この日と決めたら全力でその日に納品することを徹底することでお客様への信頼感とプロパー販売期間を長く保つことに繋がります。
主にこのようなケースで対応が出来るかと思いますが、一番は会社全体で消化率を考えることがいいと思うんですがね。

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