#198 かわいいけど危険も 赤ちゃんと犬の「同居」

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かわいいけど危険も 赤ちゃんと犬の「同居」、獣医師が教える2つの注意点



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犬を飼っている家庭に赤ちゃんが生まれると、ほほ笑ましい光景が想像される一方で、けがや感染症を心配する人も少なくありません。同居の注意点について、獣医師に聞きました。



赤ちゃんと犬が一緒に暮らす際の注意点とは?


「赤ちゃんと犬がいる家庭」と聞くと、かわいく、ほほ笑ましい触れ合いの光景を想像する人も多いことでしょう。

実際、赤ちゃんが生まれることで犬の行動が穏やかになるケースもあるようですが、一方で、赤ちゃんのアレルギー症状や感染症、けがなどを心配する声も少なくないようで、

「突然、かみつかないか不安」

「犬は赤ちゃんのことを意識するのかな?」

「どんなことに気を付けたらいいんだろう」など、さまざまな声が聞かれます。




 赤ちゃんと犬が同居するにあたり、どんなことに注意すればよいのでしょうか。

獣医師の増田国充さんに聞きました。




犬のことも「しっかりと褒めてあげる」
Q.犬を飼っている家庭に子どもが生まれた場合、犬は赤ちゃんのことをどのように認識するのでしょうか。



増田さん「ヒトの赤ちゃんに関心を示し、好意的に捉えることもあれば、“おっかなびっくり”の様子を見せたり、警戒したりすることもあります。

ただ、それらによって犬がヒトの赤ちゃんに重大な危害を加えることはあまりないと思われます。

赤ちゃんの存在も気になると思いますが、それよりも、新たな家族が増えたことによって、自身(犬)の家庭内での序列やポジションを気にすることがあります。

つまり、『赤ちゃんと自身の関係をどう捉えようか』と探るのです」




Q.赤ちゃんの存在は、犬の精神面にどのような影響を及ぼすのですか。

増田さん「犬は元来、群れを形成して生活しています。

群れの中で、赤ちゃんは当然弱い立場になるため、外部から守ろうと本能的に関心を向けます。

つまり、犬は赤ちゃんに対する優しさを持ち合わせていることになります。

実際、ヒトの赤ちゃんを見る犬の目は、非常に優しい力強さを持っています」




Q.飼い主は犬に対して、どのように接するとよいのでしょうか。

増田さん「人間と生活している以上、どうしても人間(赤ちゃん)を優先することとなります。それが問題ということではありませんが、犬も飼い主さんからの愛情を受け止めたいと思っています。

赤ちゃんとたくさん接したら、その後でも構いませんので、しっかりと犬を褒めてあげてください」




Q.犬と赤ちゃんが同居する上で注意した方がよいこととは。

増田さん「2点あります。1つ目は、双方が生活する上で“危険なもの”を安易に置かないことです。

例えば、赤ちゃんのおもちゃを犬がくわえてしまう可能性もありますし、その逆も起こり得ます。

スキンシップを取るのはよいものの、犬の食器を赤ちゃんがなめてしまうといった事態は、決してよいことではありません。





2つ目は『抜け毛』です。犬は抜け毛が非常に多い動物です。

毛だけでなく、フケなどもほこりと一緒に床に落ちます。不衛生な環境は、赤ちゃんの皮膚や呼吸器に影響を及ぼすことがあるため、常識的な範囲で住環境の掃除を忘れずに行いましょう」




Q.一方で、犬と赤ちゃんを同居させることのメリットや、よい効果はあるのでしょうか。

増田さん「『子どもの免疫力の強化につながる』といった医学的な研究発表が出されている点が注目されます。

生活環境が清浄すぎると、逆に免疫機能に影響が及び、アレルギー体質につながるという見方もできます。





また、犬の感情や行動が優しくなることが期待できます。

犬も、ヒトの赤ちゃんを『赤ちゃん』と認識するので、攻撃的な行動はあまり見られません。

実際に、『赤ちゃんのやや手荒い行動にも我慢する様子が見られる』といった、飼い主さんからのお話を耳にすることもあります。

友情のような絆が生まれやすいのでしょうね。




そうした点から、特に意識的に教えなくても、犬・赤ちゃんともに相手を思いやる気持ちが育まれることが期待されます。

関係が形成されれば、犬も手荒な行動に出ることはほとんどないと考えられます」




Q.犬の状態や飼育環境について、赤ちゃんを家に連れ帰る前に確認しておくべきポイントを教えてください。

増田さん「犬の健康状態が良好であることが条件です。心臓病を持っていたり、がんなど大きな病気と闘っていたりする状態では、環境の変化にうまく対応できない恐れがあります。

犬が妊娠中・産後の場合は、気力・体力ともに大幅に消費する時期です。

この時期は赤ちゃんと一緒にすることを避けるなど、犬への十分な配慮が必要となります。



また、感染症や寄生虫(ノミやマダニ)の予防はしっかり行っておくべきです。

犬の皮膚の感染症には、例えば『皮膚糸状菌症』という、人間にも感染するカビの病気もあります。

普段と同じ程度でよいので、定期的にシャンプーをしておきましょう。

動物を介して感染する『人畜共通感染症』というものも存在するので、定期的に愛犬の検診を行うことも重要です。

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そして犬、人間ともに、一緒に過ごす時間とプライベートな時間はしっかり確保しておくべきだと思います。

日頃からサークル(ケージ)に入っていられるよう、トレーニングしておきましょう」




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