小説における魅力的な主人公の書き方 - タイプ別アプローチ

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コラム
小説の主人公は、物語の魅力を決定づける中心的存在です。彼らが読者にどのように映るかは、その物語が心に残るか忘れられるかの分かれ道となります。主人公は、大きく分けて三つのタイプに分類できるでしょう。

共感型主人公

まず、共感型主人公は、読者が自分自身の一部を見るような存在です。彼らは、『ドラえもん』の、のび太君のように、日常的な失敗や弱さを持っており、それが読者に安心感を与え、物語への没入を深めます。

共感型のメリットは、読者が物語の流れに自然と同調しやすくなる点です。しかし、その共感ゆえに、主人公が予期せぬ選択をすると、読者は強い違和感や反感を感じるリスクがあります。共感型主人公は、読者の鏡とも言える存在で、その微妙なバランスを取ることが重要です。

超人型主人公

次に、超人型主人公は、常人離れした能力で困難を乗り越えるタイプです。マンガ『蒼天航路』の主人公・曹操のようなキャラクターがその典型で、彼らの行動は華麗で、読者に爽快感を与えます。

超人型のメリットは、彼らの活躍を通じて読者に強烈なカタルシスを提供する点にあります。

一方でデメリットとしては、主人公があまりにも強大すぎると、読者との距離を感じさせてしまうことがあります。また、作者の独りよがりな展開は、物語に一層の距離感を生んでしまう可能性もあります。

悪人型主人公

最後に、悪人型主人公は、従来のヒーロー像から逸脱し、時に反社会的な行動をとることで物語を牽引します。

小説『果てしなき渇き』のような作品では、主人公は元刑事でありながら、強大な敵に立ち向かうため、時として犯罪行為に手を染めますが、読者には背徳的な魅力を感じさせることがあります。

このタイプのデメリットは、その行動によって読者を遠ざけてしまうことですが、メリットとしては、うまく扱えば、読者に通常では体験できない興奮や刺激を提供することができます。


これらのタイプは、さまざまな方法で組み合わせることが可能です。例えば、共感型と超人型の組み合わせは、マンガ『ワンパンマン』のサイタマのような、圧倒的な力を持ちながらも人間的な弱さを感じさせるキャラクターを生み出します。

一方で、超人型と悪人型の融合は、マンガ『闇金ウシジマくん』の丑嶋社長のような、読者がときに恐れ、ときに尊敬する複雑なキャラクターを創造することにつながります。

主人公を創る過程では、これらのタイプを自由に組み合わせ、展開していくことが重要です。作者自身の感性と創造力で、読者に響く独自の主人公を生み出してください。それが、記憶に残る物語を紡ぐ鍵となるでしょう。

逢巳
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