自分で創る自分の車 No.14

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コラム
エアロダイナミクス 4/4

●ウィング
空力装置の中で最も人気があるのは、おそらくウィングでしょう。
ウィングは、わずかな空気抵抗で大きなダウンフォースを発生させることができ、非常に効率的に機能します。
スポイラーの効率はそれほど高くありませんが、その実用性の高さから、ウィングの効率が低いセダンに多く使用されています。
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上図に示すように、ウィングは上面と下面の空気圧の差を利用してダウンフォースを発生させます。
この気圧差は、ウィングの形状に沿って空気が流れることで生じます。

ベルヌーイの原理によれば、ある体積の空気の速度が高いほど、その空気の圧力は低くなります。
したがって、気圧を下げるためには、空気の流れを速くする必要があります。

ウィングは、空気の分子が前縁から後縁まで異なる距離を移動することでこれを実現しています。
ウィングの下側が長いため、下側を流れる空気は高速(低圧)で移動し、ウィングの上側を低速(高圧)で流れる空気と合流します。

ウィングの下にある低圧の領域は、ウィングの上にある高圧の領域がウィングを「押し下げる」ことを可能にし、その結果、ウィングが取り付けられた車両を押し下げることになるのです。
迎え角やウィングの角度を大きくすれば、さらに大きな圧力差を得ることができますが、最終的にはウィングが機能せずダウンフォースを失ってしまいます。また、アタックアングルを大きくすると抗力も大きくなります。

大きなウィングの後ろに小さなウィングを1枚または複数枚配置したマルチエレメントウィングを使用すれば、ウィングを効率的にダウンフォースをさらに高めることができます。
下図に示すように、マルチエレメントウイングのプロファイルを重ねた圧力係数のプロットを示しています。
エレメントの位置は非常に重要で、ウィングエレメントの間のギャップは、小さなウイングの低圧側に「供給」されます。

注:図中のウィングは、レーシングカーに搭載される場合と比べて「逆さま」に描かれています。
この図は、ウィングの前部から後部(コード)までの負圧係数をプロットしたものです(x/c)。
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ウイングはエンドプレートと組み合わせることで、高圧の空気がエンドプレート(翼端板)を越えて低圧の下側に流出するのを防ぐことができます。
下図は、エンドプレート付きのウィングを示しています。
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●ベンチュリートンネル
ベンチュリートンネルは、実験室で観察されるベンチュリー管のように、流れの収縮を利用してレーシングカーの下に高速で低気圧の領域を発生させます。
下図では、ベンチュリトンネルを備えた車と、その下に実験室で見た同様のベンチュリ管を示しています。
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レース車両のベンチュリーは、通常、アンダートレイを逆ウィングのような形状にして形成します。
アンダートレイと路面との間に狭窄部を形成し、そこから膨らむことで、狭窄部で発生した低圧を車両の中央部と後部に作用させます。
ベンチュリーは非常に効率の良い装置ですが、車高の変化に影響されやすいという欠点があります。


●ディフューザー
下図に示すディフューザーは、車両後部でダウンフォースを発生させるために使用されます。
ベンチュリートンネルのように、車両後方の低圧領域の直前でウィングの下面のような曲面を形成します。
これにより、車両の下を流れる空気の速度が上がり、圧力が下がることでダウンフォースが得られます。
ディフューザーとベンチュリートンネルは、車両後方の低圧エリアを利用し、さらにディフューザーに排出される高速の排気を利用して低圧化することもあります。
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■エアロダイナミクスのHow-To Tips (4/4まとめ)

・シャシーのレーキ
前述の空力理論の項で述べたように、シャシーは、フロントがリアよりもわずかに路面に対して低くすることができます。
車両の "ノーズ "が低くなると、車両下を通過する空気の量が減り、車両の "テール "が高くなると、真空効果が発生する空間が広がります。
これにより、車両下の空気圧が下がり、ダウンフォースが得られるというわけです。

・エクスポーズド・ウィッシュボーンのカバーまたはストリームライン
オープンホイールカーのエクスポーズド・ウィッシュボーンは、コスト削減のために円形の鋼管で作られることが多いです。
しかし、この円形鋼管は乱流を発生させてしまいます。
楕円形のチューブを使用するか、丸いチューブの上に楕円形の形を作るチューブフェアリングを使用することを検討するとよいだろう。
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次回からセイフティー編です

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