公害防止管理者(水質)試験のポイント【機器分析の基礎①】

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Tac azul
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こんにちは。
公害防止管理者(水質関係)を受験しようとしている皆さんのため、出題されるポイントをわかりやすくまとめます。

今回は、「汚水処理特論」や「水質有害物質特論」の出題範囲になっている、機器分析の基礎についてまとめます。

内容としては、以下の名称で呼ばれる分析手法に関するものです。

<汚水処理特論の試験範囲>
・吸光光度法
・フレーム原子吸光法
・電気加熱原子吸光法
・ICP発光分光分析法
・ICP質量分析法
・イオン電極法

<水質有害物質特論の試験範囲>
・ガスクロマトグラフ法
・ガスクロマトグラフ質量分析法
・高速液体クロマトグラフ法
・イオンクロマトグラフ法
・薄層クロマトグラフ法
※原子吸光とICPは有害物質の分析にも用いられるため、水質有害物質特論でも出題される可能性があります。

汚水処理特論(全25問)、水質有害物質特論(全15問)の試験では、最後の5問ずつは分析・測定方法に関する問題が出題されます。
その5問程度の問題の中で、機器分析の基礎については例年2問ほどが割かれています。

今名前を挙げた手法はどれも、装置が複雑で高度な専門知識も必要なので覚えにくく感じるかもしれません。
確かにその通りなのですが、でも過去問を見ていくと、ある程度決まったキーワードや注意事項が繰り返し出題されている傾向があるようです。

<全体的な学習のポイント>
少なくとも以下の内容を覚えておくようにすると良いでしょう。
(1)測定原理(キーワードを中心に)
(2)装置の主要な部品名や仕組み
(3)それぞれの分析法が何を測定するのに使われるのか

このブログでは、第1部として、汚水処理特論で出題される分析機器について取り上げます。
水質有害物質特論で出題される分析機器については別記事(第2部)をご覧ください。


1.吸光光度法

(1)測定原理
簡単に言うと、試料に光線を照射し、光が吸収された度合いを調べて、そこから濃度を求めるというやり方です。

<キーワード>
吸光度:照射した光のうち、試料中に吸収された分のこと
ランバート・ベールの法則:「吸光度は試料の濃度と透過距離に比例する」という法則。濃度が大きいほど光の吸収量が多くなります。
吸光光度法数式.jpg
モル吸光係数:上記ランバート・ベールの法則の式における比例定数ε。
濃度1mol/L、透過距離1cmの時の吸光度を表す。

(2)装置(分光光度計
吸光光度法で測定するための機械のことを分光光度計と呼びます。
分光光度計は以下のパーツで成り立っています。
①光源部(ランプ)
②波長選択部(モノクロメーター)
③試料部
④測光部(検出器)とデータ処理部
流れ:
ランプで光を出す → 当てたい波長だけセレクトする
→ 試料の入った入れ物に当てる → 透過された光の量を測る

①ランプ
当てたい光の種類によって、幾つかのランプを使い分けます。
タングステンランプやハロゲンランプ:可視部から近赤外部にかけての波長の光を当てる(波長320nm以上。紫外線を当てたいときは使えない
重水素ランプ紫外部から可視部にかけての波長の光を当てる(波長160~400nm)
低圧水銀ランプ紫外部から可視部にかけて、広い範囲の波長の光を選べる(波長253.65~579.07nm)

②波長選択部
ランプから出る光はいろいろな波長(色)の混ざった光なので、その中から宛てたい波長の光だけ取り出して当てるための装置です。モノクロメーターと呼ばれる装置を使います。

③試料部
試料溶液を容器に入れ、そこに光を当てます。
入れる容器はセルと呼ばれています。
セルの材質はガラスまたは石英で、紫外部を測るときは石英セルを使用します(ガラスは紫外線を吸収するため)。紫外線を当てない場合はガラスセルを使えます。

(3)使われる検定項目
「○○吸光光度法」という名前が付く検定法では、ほぼ例外なく分光光度計を使います。(たくさんあるので具体名は省略)


2.原子吸光法

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