公害防止管理者(水質)試験のポイント【試料の保存方法】

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こんにちは。
公害防止管理者(水質関係)を受験しようとしている皆さんのため、出題されるポイントをわかりやすくまとめます。

今回は、「汚水処理特論」や「水質有害物質特論」の出題範囲になっている、試料の保存方法についてまとめます。



まずは、関係する項目と、その保存方法を一通り書いていきます。
(これだけだと覚えにくいと思うので、後で覚えやすいようにまとめます)



【汚水処理特論の範囲】
pH : 保存できない
BOD・COD・TOC・SS(浮遊物質) : 0~10℃の暗所
ヘキサン抽出物質 : 塩酸(1+1)でpH4以下
大腸菌群 : 0~5℃の暗所(9時間以内に試験)
重金属類(銅、亜鉛) : 硝酸でpH1
溶解性鉄・マンガン : ろ紙5種Cでろ過後、初めの50mLは捨てて、硝酸でpH1
フェノール類 : リン酸でpH4にし、硫酸銅5水和物を加え、0~10℃の暗所
全りん : クロロホルムを加え0~10℃の暗所、または硫酸か硝酸でpH2
全窒素 : 塩酸か硫酸でpH2~3とし、0~10℃の暗所


【水質有害物質特論の範囲】
重金属類(カドミウム、鉛) : 硝酸でpH1
六価クロム : そのままの状態で、0~10℃の暗所
ひ素 : 塩酸(前処理が必要な時は硝酸)でpH1
ふっ素 : 規定はないが、常温
ほう素 : 規定はないが、常温
硝酸・亜硝酸 : クロロホルムを加え0~10℃の暗所
アンモニウムイオン : 塩酸か硫酸でpH2~3とし、0~10℃の暗所
シアン : 水酸化ナトリウムでpH12
有機りん : 塩酸で弱酸性
塩素化炭化水素・ベンゼン・1,4-ジオキサン : 4℃以下の暗所(凍結させないこと)
PCB・チウラム・シマジン・チオベンカルブ : 0~10℃の暗所



では次に、覚えやすいように分類していきます。
何か試薬を加えるかどうか」で分けるのがポイント。



① イレギュラーなもの(そのまま丸暗記)
pH 「保存できない
溶解性鉄・マンガン 「ろ紙5種Cでろ過後、初めの50mLは捨てて、硝酸でpH1」
フェノール類 「リン酸でpH4にし、硫酸銅5水和物を加え、0~10℃の暗所」



② 特に何も加えないで保存するもの
・「0~10℃の暗所」
 …BOD、COD、TOC、SS(浮遊物質)、PCB、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、六価クロム
※金属は基本的に酸を加えて保存しますが、六価クロムだけは例外で、何かを加えることはしません。

・「0~5℃の暗所」
 …大腸菌群9時間以内に試験する条件付き)

・「4℃以下(凍結させないこと)
 …塩素化炭化水素(トリクロロエチレンなど)、ベンゼン、1,4-ジオキサン
※この条件は、基本的に揮発しやすい物質が対象となります。温度が高かったり、凍結させてしまったりすると、水中から出て行ってしまいます。

・「常温」でよいとされているもの
 …ふっ素、ほう素
(冷やしてはいけない、というわけではないと思われます。)



③ 酸を加えるもの
塩酸を加えるもの
 …ヘキサン抽出物質 「塩酸(1+1)でpH4以下」
全窒素、アンモニウムイオン 「塩酸か硫酸でpH2~3とし、0~10℃の暗所」
ひ素 「塩酸(前処理が必要な時は硝酸)でpH1」
有機りん 「塩酸で弱酸性」

硝酸を加えるもの
 …重金属類(銅、亜鉛、カドミウム、鉛、溶解性鉄、マンガン) 「硝酸でpH1」 ※溶解性鉄とマンガンは、ろ過と最初の液を捨てる前処理が必要
  全りん 「硫酸か硝酸でpH2」
  ひ素 (前処理が必要な場合は硝酸を使用します)

硫酸を加えるもの
 …全窒素、アンモニウムイオン 「塩酸か硫酸でpH2~3とし、0~10℃の暗所」
  全りん 「硫酸か硝酸でpH2」

リン酸を加えるもの
 …フェノール類 「リン酸でpH4にし、硫酸銅5水和物を加え、0~10℃の暗所」



④ 塩基(アルカリ)を加えるもの
水酸化ナトリウムを加えるもの
 …シアン 「水酸化ナトリウムでpH12」

塩基を加える項目はシアンしかありません。
しかも、シアンは有害物質ですから、汚水処理特論の範囲で塩基を加える項目は存在しません。



⑤ クロロホルムを加えるもの
 …全りん、硝酸、亜硝酸 「クロロホルムを加え0~10℃の暗所」



最後に、試料保存容器についてもまとめておきます。
「使えない」項目だけ覚えておけばOK。

○ ガラス容器が使えない項目 : ふっ素、ほう素

○ プラスチック容器が使えない項目 : 有機物系の項目すべて
(ヘキサン抽出物質、フェノール類、有機りん、塩素化炭化水素、ベンゼン、1,4-ジオキサン、PCB、チウラム、シマジン、チオベンカルブ)

ふっ素はガラスを溶かす性質があるため、使用できません。
ほう素は、一般によく使われる「ほうけい酸ガラス」を使うと、ガラスからほう素の成分が溶け出す可能性があり、正確な濃度が測れません。それでプラスチック容器を使う方が無難です。
また有機物系項目はプラスチック容器に吸着されるおそれがあるため、使用できません。



以上が、試料の保存方法のまとめになります。

太字の部分を理解しておけば、おおむね正解にたどり着けるのではないかと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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