開業資金は自分の手で稼ぐのがベストだ

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2010年の夏、宮部新(竹内涼真)は、飲食店でアルバイトをしている楠木優香(新木優子)に会いに東京・港区六本木へ行く。久々に再開した二人は、翌朝まで遊びまくって、優香の住むアパートへ。玄関先で「うちに泊まっていく?」という優香の誘いを断り、新は「7年後、この六本木に店を出すことに決めた」と宣言した。そして、開店資金を稼ぐため「いまからマグロ漁船に乗りに行く。また会いに必ず戻ってくるから」と言って新は優香に背を向けた。

このシーンに、起業のために必要な人、物、金の3要素のひとつ「金」が登場している。家賃が高く、競合も多い六本木への出店という現実的ではない夢を実現するために新は、まずマグロ漁船に乗って開店資金を貯めることにしたのだ。

じつは、この「六本木クラス」の第6話で、巨大飲食産業「長屋ホールディングス」の会長・長屋茂(香川照之)に宮部新が先制パンチくらわすストーリーが展開する。それは、長屋ホールディングスの株を8億円で買った新は、長屋ホールディングスの相川京子専務(稲森いずみ)一派に加わり、会社の持ち株比率を上げて株主総会で長屋茂(香川照之)を会長の座から引きずり下ろすという作戦。

視聴者がこの作戦で最も疑問に思ったのが、長屋ホールディングスの株購入費8億円の出所だ。なんと新は父親の死亡により支払われた生命保険金を元本にファンドマネージャー・桐野雄大(矢本悠馬)に依頼し、資金を運用して8億円を捻出していたのだ。

話を元に戻すが、六本木に店を出すために、なぜ、新はマグロ漁船に乗って、しかも、7年もかけて開店資金を貯めたのか?父親の死亡により支払われた生命保険金をその開店資金に充てればよかったのではないか。ここに起業するときに必要な金の調達の仕方で重要な考え方が示されている。

生命保険金は、あくまでも復讐のためにとっていたわけだが、新はマグロ漁船に乗ることで、金を稼ぐことの大変さを知ったのではないかと推察される。できれば、長屋ホールディングスと戦うために同じ飲食業に就いて飲食店の運営の基本をマスターしたかったのだろうが、7年間で開店資金を貯めるという時間的な制約からやむを得ずマグロ漁船に乗ったのであろう。

いずれにせよ、起業するときの開業資金は、出資を募ったり、借入による資金調達だけは避けるべきだ。起業してまもなく株主からの横やりに阻まれたり、借金の返済に追われることになり、会社の運営が儘ならなくなる恐れがあるからだ。

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