学級委員選挙

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コラム
 もうすぐ町長選挙です。選挙で思い出しました。あれは中学3年の時のことです。わが3年B組で、3学期の学級委員を決める選挙がありました。その時、ほとんどの生徒が推薦したT.S君に決定して、みんなが拍手喝采した時、そのT.S君が突然挙手して立ち上がり、「学級委員はB,K君がいいと思います、」と言い出しました。
 みんな「えっ。」という顔をして彼を見つめました。実は彼の言うB,K君は、当日風邪をひいて欠席していたのです。そのあとの経緯についてはよく覚えていないのですが、クラス全員と彼との間で、何やら押し問答や意見のやり取りはあったと思います。
 で、結局どうなったかと言いますと、彼が押したB,K君が学級委員になることを承諾したら、B,K君になってもらう。もし嫌だと言ったら、当初通りT,S君に決定、ということになりました。
 その夜、T,S君はB,K君の家に行って事の経緯を話し、学級委員になって欲しいことを頭を下げて頼み込みました。B,K君は苦笑いを浮かべながら話を聞いていましたが、結局は大笑いしながら学級委員になることを承諾しました。なんで私が詳しく知っているかというと、二人の間の立会人としてT,S君に同行したからなのです。
 15歳の冬の出来事ですから、もう55年も昔のことです。彼らも私もこの地に残って青春を過ごし、老境を共にしました。そのT,S君は5年前に病のため鬼籍に入り、残った私たちは古希を迎えました。
 先日、古希の同級会がありました。中年を過ぎて初老になった頃には飲む薬の話になったものでしたが、古希にもなると、そんなことはもう話題にもなりません。いつあの世から迎えにきてもおかしくない年になりました。ある種の達観? なのかもしれません。
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