企業の研究開発における分子シミュレーション

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IT・テクノロジー
Drug Discoveryは、マテリアルデザインの中で最も発展している領域の一つであり、既に多くの産官学連携プロジェクトが進行しております。また、実験およびシミュレーションによって膨大なビッグデータを抱える分野ですので、機械学習を用いた効率化も盛んに行われています。
今回は、現在日本で行われている、Drug Discoveryを目的とするアライアンスやコンソーシアムを眺めます。
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図1:Drug Discoveryの流れ

ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)

LINCは、京都大学の奥野恭史教授が代表を務め、理化学研究所を中心に行われている、製薬・化学・食品・医療・ヘルスケア関連のAIとビッグデータ技術の応用を目指すコンソーシアムであり、17大学、72企業と国内最大級のプロジェクトです。この中でも、現在、図1のドッキングシミュレーション、あるいは分子シミュレーションに用いられるソフトウェアを提供する企業が以下となります:
株式会社システム計画研究所、(株)クロスアビリティ、(株)京都コンステラテクノロジーズ、HPCシステムズ(株)、(株)情報数理バイオ、(株)知能情報システム、みずほ情報総研(株)、三井情報(株)

この他にも極めて広範囲の企業が参画しており、産学連携を推進する姿勢が伺えます。既に3年目を迎えるこのプロジェクトですので、今後は産学連携による成果や連携が公開されると期待されるため、今後注目していきたいです。

シュレディンガー、武田薬品工業

シュレディンガー社は、アメリカニューヨークに本社を置く、計算科学用ソフトウェアを提供する企業です。2017年7月21日、武田薬品工業はこのシュレディンガー社と共同研究プロジェクトを発足しており、武田薬品工業が計算に必須であるタンパク質結晶構造を提供する代わりに、シュレディンガー社が創薬部門のコストを負担します。図1でいえば、左上の“標的タンパク質結晶構造取得”を武田薬品工業が担当することになります。また、創薬が成功した場合も、武田薬品工業が独占的に獲得できる権利を有するようです。このようなプロジェクトの契約を眺めることで、
■計算科学が創薬に占める重要性
■創薬における計算科学専門企業の重要性
が伺えます。

DeNA、旭化成ファーマ、塩野義製薬
DeNAは、最近人工知能(AI)に力を入れており、強化学習、画像解析、自然言語処理など幅広い取り組みがなされています。こちらの共同研究プロジェクトは、2018年1月10日にプレスリリースされ、DeNAが創薬AIの市場を狙っていることが示さました。今後、国内創薬AIの共同体の中で異質の光を放つこのプロジェクトに注目したいところです。

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