判例研究の手法とは

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判例研究とは、裁判の先例となる過去の判決をテーマに研究することです。法律解釈の具体的内容を明らかにしたり、現実に裁判所に妥当している裁判規範を明らかにしたりする目的があります。

本記事では、そんな判例研究の手法について解説します。

データの収集と整理・分析

判例研究で重要なのは、データの収集と整理・分析です。

まず行うべきはデータの収集で、そのテーマを取り扱った、日本法、外国法の文献・判例の情報などを集めましょう。

続いて、収集した文献・判例を整理しましょう。集めたものを全部レポートに取り込むのではなく、レポートのテーマに沿ったものを取捨選択し、適宜まとめた形で提示することが重要です。

その際に、単に、文献や判例を時系列で並べるのではなく、全体的な流れや、議論の変遷がわかるようにします。そして、提示した文献・判例から、学説・判例の変遷や現在の議論の到達点が明らかにできるような分析を試みましょう。

考察

文献・判例を整理・分析したうえで、分析結果から、何が導けるかを考察しましょう。

考察結果は当然、レポートが扱うテーマによって異なります。例えば、今後、この問題についてはこういうように考えるべきだ、といった視点や示唆を場合もあれば、新しい解釈論を提示したりする場合もあります。

ここからは、具体的な判例研究について解説します。

事案の整理

判例研究で重要なのは、当該事件の具体的事案の整理です。

具体的事案の整理で特に注意を要するのが、最高裁判決の判決文です。最高裁判決の判決文では、前半部分で事案の概要がまとめられているケースが多いものの、その事件全体の事実関係がまとめられていません。

そのため、事実関係がかなり省略されている場合もあります。したがって、最高裁判決の事件の全容が知りたい場合には、一審、二審の事実関係も参照する必要があります。

判決文の提示

事案の整理の後には、その判決の判決文を提示しましょう。

判例研究で判決文を提示する際は、裁判所の判決文をそのまま抜き出すのではなく、その事案に対して裁判所が下した法的判断の部分のみを抜き出すことが重要です。取り上げるべき判断部分もしっかり判断しましょう。

従来の議論の整理

判決文を提示した後は、その判決が扱った問題をめぐる学説・判例を整理しまとめましょう。

多くの場合は、それまで議論されていたが明らかになっていなかった部分について新しい判断を下したという場合が大半です。そのような場合には、これまでの議論に何を付け加えたかを明らかにするためにも、これまでの議論を整理しましょう。

裁判所の判断の分析

その裁判例の判決の法的判断を解析しましょう。

判決の法的判断を解析する際、多くの場合は、どのような事実を前提に、どのような法律を当てはめ、学説を採用し、そのような判断を下したのは、判決文からは明確ではありません。そのため、判決の判断構造を分析することが重要です。

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