企業目線より「ユーザー目線」その1

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自分の会社のこと、自社の商品のことを、社内にいる人間は意外と理解していない…という例は少なくありません。そういう場合、PR動画を作る際も、自社の商品を愛するあまり、「ウチの商品は素晴らしいです!」という「企業目線」のアピールとなってしまい、「消費者目線」を置き去りにしがちです。私が関わった分かりやすい例をひとつご紹介しましょう。
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PR会社の社員だった頃の案件です。ある家電メーカーから新商品の「ホットプレート」のPR動画の企画を依頼されました。
クライアントが真っ先にアピールしたのは、ホットプレートの「高級感」「高性能」「高機能」でした。

「牛肉や車エビなどの高級な食材を用意し、高い温度でジュージュー焼くシズル感」「付属のたこ焼きプレートも嬉しい」「鉄板の耐久性もアピールしたい」「省電力も…」という意見が出ました。それを聞いた私は「う〜ん、まあそうだな〜」という思いと「何かが抜けてないか?」という思いがありました。

クライアントの意見を踏まえて、社内のリサーチ部門に「ホットプレート」に対する市場調査を依頼しました。
すると「ホットプレートに対する要望」で上位を占めたのが…
「子供と一緒にワイワイ焼きたいのでプレートは大き目がいい」「子供の好きなハンバーグやウインナー、目玉焼きを焼きたい」「後片付けは楽な方が良い」という声でした。
そこには「高級食材」「耐久性」「省電力」という文字はほぼゼロ。
そうです!先方のプランの中に欠けていたのは「ユーザー(家族)の思い」でした。

親にとって、子供と一緒に目の前で食材を焼いて食べるという喜びとは…
「高級食材が美味しく焼ける」「付属品が充実」「省電力」という「商品のメリット」よりも、「子供達の楽しそうな笑顔が見たい」という「ベネフィット」の方が強い…という仮説にたどり着いたのです。
そのリサーチ結果を受け、『自宅のリビングで親子4人が笑顔で話しながら、子供の好きな食材をワイワイ楽しそうに焼いている映像』がメインのシナリオを書きました。

インサート映像には…
「プレート上に具材をキレイに並べるお母さん」
「不器用そうにハンバーグをひっくり返す男の子」
「目の前でパチンと跳ねたウインナーにおどろく女の子」
「それを見て大笑いするお父さん」
などを入れ込んで構成し、『子供と一緒におウチで鉄板焼き』というキャッチコピーとともに提案したところ、それが採用されたのです。
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