- さらに前編の続き -
♪複数の 「なんじゃこりゃ」 的な発見の大半は、専門(=楽器オタク)的な内容が避けられません。
たとえば今編扉画像を凝視いただくと、お気づきいただけるかと。
胴体内に "つくしんぼ" みたいな、かなり古いであろう謎のマイク "だけ" が仕込まれていますが、なんだこりゃ!?
しかも直接アンプにつなぐと、微弱ながら音が出るから、これまた不思議。
集音タイプのマイクには電池や電源が付いていないのに … 魔法!?
そこで限りある今編では、木工芸術品の一面を持つギターだからこそ、この 『WOOD』 に関して、語らせていただくことにしました。
* カタログ上は全合板表記も、このギターの表板は単板だぞ!?
時代を問わず、廉価版のギターは合板仕様の傾向が顕著です。
★ ネット上より拝借 ギターの合板の上下は極薄(コンマ数ミリ)です
コストカットが1番の理由ですが、薄い板を複数枚(基本3枚)貼り合わせるため、振動は自ずと抑えられます。
綺麗な極薄の化粧板が表面のため美観は保てますが、楽器の 『鳴り』 に関しては、単板削り出しと比較して 「劣る」 との表現が用いられています。
配達された彼女に運送事故が生じていないかを確かめるべく、開封から直ぐに弦を巻き上げ、まずは弾いてみました。
「ん? … この鳴り方は、表板が合板のそれじゃないゾ!?」
ある程度ギターに慣れ親しんだ人であれば、表板が単板なのか合板なのか、一目ならぬ一聴瞭然です。
この違いを不特定多数の人に伝える表現を、筆者は持ち合わせていません。
ジャラーンと全弦を弾き下ろし、続いて単音をポーンと弾くだけで、確実に見極めならぬ聴き分けられます(責任明言)。
カタログ表記に反し、明らかに単板特有の残響音の伸び & 音のしなりに、
「ならば目視確認すべし」
サウンドホール(=表板の丸穴)に沿った、表板の断面図を見たところ、
★ 上の図と合わせてどうぞ 木目が上から下まで通っています
時代を問わず、カタログ製品にはイレギュラーが稀に混在します。
ギターというジャンルに関しても、筆者はこれまで数多くのそれらを目にしてきており、このギターの姉妹機種でも、それを記憶しています。
さらには通常刻印されている製造番号が、所定の場所に見当たりません。
年月の経過で消えたり・意図的に消されたのではなく、最初から未刻印。
いわゆる試作品的な1本である可能性が、自ずと高まります?
思っていたよりもワンランク上の楽器が、スルリと手に入りました。
横と裏板(=色の濃い部分)は合板でしたが、今日では容易に用いられない、稀少な木材が用いられています。
* コーラルローズ(※ニューハカランダ・ホンジュラスローズも同じ?)
当時のメーカーのカタログには、このように記載されていたようです。
★ 見事な柾目取り 廉価合板製品としては 随分贅沢な木取りです
今日であれば、このような廉価商品にはとても用いられません。
(※新品商品であれば、合板でもゼロが5つ並ぶ小売価格です。全単版ならゼロが6つが近年の相場です)
まだ気兼ねなく原木を伐採しては乱用していた時代背景が、その佇まいの向こうに垣間見える気がしてなりません。
♪以上、計3回にわたっての、読者完全無視の独壇場、失礼しました。
なぜか発注時に画像確認したのとは別物の、微妙に大きく深過ぎる形状の中古ハードケースに入って届きましたが、黙っています。
クッション兼湿気取り用のタオルを詰めれば、保管に支障はありません。
この形状にジャストフィットの、しっかりした中古のケース探し、苦戦必至でしょう。
あわてず焦らず、出物との遭遇を待つことにしましょう。
★ それぞれ今一度 愛称も焦らず じっくり思いつくのを待とうかと
約半世紀前の廉価版としては、大変綺麗な保存状態の彼女。
早くも筆者の手により、改造ならぬ改良手術を施しましたが、単なる整形手術ではありません。
より高いポテンシャルを引き出すべくの、適切な治癒だと自負しています。
( ^o^ ) 一気にアコギ部門のメインギターに躍り出た感ですね。
<などと綴っていた矢先に>
一番太い弦を支える糸巻が、どうやら天寿を全うされてしまったような?
★ 経年劣化の果て 詳細は割愛しますが 再度外して調整を試みるも …
一応無理矢理回復させるも、一時的なものであることを、不安定さが教えてくれています。
今度悲鳴を上げれば、引退すなわち交換せざるを得ないでしょう。
昨今の糸巻きは高性能かつ小型化が顕著で、この規格に合うパーツ探し、これまた苦戦必至です。
早目にバックストックすべく、懇意にしていただいている楽器屋さんに、まずは相談してみるかな?
( ToT ) とほほ …
或 頁生(ある ぺじお)
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