富太郎の『ちょこプレ』2024.4.21

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コラム
富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「民法192条 即時取得」

 有名デパートで「純金の茶碗」が盗まれ、即日買取業者に売却され、
さらに転売されました。
 『盗品』を巡っては、様々な法律が出てきます。 以下は、あくまでも、
法律上のお話であり、特定の個人や事業者に関するものではありません。

 まず、『即時取得』という法律があります。
民法192条「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた 
 者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使
 する権利を取得する。

 以下の要件に該当すると、『動産の所有権』を取得します。
(1) 動産であること
  例 「抹茶茶碗」 〇
(2) 取引によって占有を取得すること
  例 買取業者の「買取」 〇
(3) 無権利者からの(有効な)買取であること
  例 窃盗犯からの、脅迫等に基づかない、有効な購入 〇
(4) 平穏・公然・善意・無過失であること 〇
  ・ 「平穏・公然・善意」は186条で推定されます。
   186条1項「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、
    かつ、公然と占有するものと推定する。」
  ・ 「無過失」についても188条で推定されます。
   188条「占有者が占有物について行使する権利は、適法に有する
    ものと推定する。」
  ・ なお、これらの要件は、『占有取得時』にあれば足りると
    されています。
      (注)「推定する」とは、反証を挙げて破られるまで、正当な本権がある
    との主張に関し『挙証責任を負わない』ことを言います。
    ⇒ 推定を破るためには、相手方に「挙証責任」があります。
(5) 占有を取得したこと。
  例 現実に物を取得する(現実の引渡し) 〇

「即時取得」をすると、所有権を取得し、『原権利者に対して不当利得
 返還義務を負わない。』というのが、通説になっています。

 一方、「即時取得された側」ついては、193条【盗品又は遺失物の回復
「前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は
 遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を
 請求することができる。」 とされています。
 ポイントは、・即時取得された目的物が「盗品」なら
       ・2年間、無償で
       ・「占有者」に、物の返還を請求 できます。
       (注) 窃盗者から購入していた買い受け人が、「転売」して
       いた場合には、請求できるのは現在の「占有者」にであって
       転売した「窃盗者から購入した買い受け人」ではありません。

ただし、194条「占有者が、盗品又は遺失物を競売若しくは公の市場に
 おいて、又はその物と同種のものを販売する商人から、善意で買い受けた
 ときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、
 その物を回復することができない。」 のです。    
 ポイントは、・占有者が、善意で、
       ・商人から、買っていた場合は、
       ・代価の弁償 が必要になります。

司法書士試験では、以下のような過去問の出題実績があります。
民法 平成31-9-イ
問 A所有の甲時計が盗まれ、その事実について善意無過失のBが、公の
 市場において甲時計を買い受けた。 この場合において、Bは、Aから
 甲時計の回復を求められたとしても、代価の弁償の提供があるまで、
 甲時計を無償で使用する権限を有する。
答 〇 占有者は、支払った代価の弁償があるまで盗品等の引渡しを
 拒むことができ、弁償の提供があるまで盗品等の使用収益を行う権限を
 有します。

 最後に、蛇足ながら、刑法には以下の条文があります。
61条【教唆】
 ① 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
 ② 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。

今回は、以上です。 
過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎

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