富太郎の『ちょこプレ』2024.4.14

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コラム
富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「憲法64条 弾劾裁判所(だんがいさいばんしょ)

 「SNS不適切投稿」を理由に、高裁の判事が罷免されました。
ご存じのように、『三権分立』により、「司法権の独立」が尊重され、
それを受けて、憲法78条により「裁判官の身分保障」が定められています。
憲法78条『裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることが
 できないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免され
 ない。 裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。』

つまり、裁判官が罷免されるのは、
(1) 国会に設置された「弾劾裁判」による罷免 (64条)
 裁判官に ①職務上の義務に著しく違反し、又はその職務を甚だしく怠った
       とき
      ②その他職務の内外を問わず、裁判官として威信を著しく失う
       べき非行があった場合
     当該裁判官は、罷免される。
(2) 裁判所による罷免 (78条)
 裁判官は、裁判(分限裁判)によって心身の故障のために職務を執ることが
 できないと決定された場合、罷免される。
 (注)懲戒による「罷免」は許されない。
(3) 最高裁判所裁判官に対する「国民審査」 (79条)
 最高裁判官に対する「国民審査」で投票者の多数が罷免を可とした場合、
 罷免される。
 (注)「国民審査」が行われる時期
  ①任命後初めて行われる衆議院議員選挙の際
  ②最初の「国民審査」後10年を経過した後に初めて行われる衆議院議員
   選挙の際

 『弾劾裁判所』について、少し補足します。
(1) 構成
 弾劾裁判所は、両議院の議員各7人の裁判員で構成されます。
(2) 活動
 弾劾裁判所は、国会の機関ではなく、独立した常設機関であり、国会閉会中
も活動することができます。
(3) 罷免の裁判
 弾劾裁判所が罷免の裁判をするには、審理に関与した裁判員の3分の2以上
の多数の意見によります。
裁判官は「罷免の裁判の宣告」により罷免されます。
 罷免の裁判を受けた裁判官に、弾劾裁判所に対する「資格回復の裁判」の
請求が認められています。
通常裁判所に「弾劾裁判の取消し」の訴えを提訴することはできません。

司法書士試験では出題の多い個所ではありませんが、過去には以下の問題が。
憲法 平成23-3-オ
問 下級裁判所の裁判官は、「弾劾裁判所」の裁判による場合、いわゆる
 「分限裁判」によって心身の故障のために職務を執ることができないと
 決定された場合 又は「分限裁判」によって懲戒された場合でなければ、
 罷免されることはない。
答 × 懲戒による「罷免」は許されません。


今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎

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