富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「衆議院の優越」
2024年度予算が、3月28日の参院本会議で成立しました。
国の予算には、「衆議院に先議権がある(衆議院に先に提出しなければ
ならない)」(憲法60条1項)ので、衆議院ではすでに可決済みでした。
この「予算」が、『参議院で可決されなかった』場合は、どうなるのか?
その場合には、衆議院と参議院の代表による『両院協議会』が開催され、
それでも意見が一致しないときは『衆議院の議決が国会の議決』となります。
これを「衆議院の優越」と言います。
「予算」の他にも「法律案」「条約の承認」「内閣総理大臣の指名」にも
「衆議院の優越」が認められていますが、「予算」以外には「先議権」は、
ありません。
また、「予算」同様、「条約の承認」「内閣総理大臣の指名」の場合は、
『両院協議会(必要的)』を開いても意見が一致しないときは、衆議院の議決が
国会の議決となりますが、「法律案」の場合は、参議院が衆議院と異なった
議決を場合、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決すれば、
法律となります。「両院協議会」の開催は任意的です。
なお、衆議院が可決し、それを参議院が受け取りながら、決議しない場合は
「法律案」では、60日経過すれば、衆議院は参議院が可決したものとみなし
て、出席議員の3分の2以上の多数で再び可決すれば法律となり、「予算」「条約の承認」の場合は、30日経過すれば衆議院の議決を国会の議決とし、
「内閣総理大臣の指名」の場合は、10日経過すれば、衆議院の議決を国会の
議決とします。
司法書士試験では、この辺のごちゃごちゃを突いてきます。
憲法 平成26-2-3
問 予算については、衆議院の優越が定められており、参議院が衆議院と
異なった議決をした場合であっても、衆議院で出席議員の3分の2以上の多
数で再び議決したときは、衆議院の議決を国会の議決とすることができる。
答 × 両院協議会を開催すれば、再議決は不要です。
憲法 令和4-3-ウ
問 法律案は、先に衆議院に提出しなければならないが、予算は先に参議院に
提出することも許される。
答 × 予算には先議権があり、法律案には先議権はありません。
今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。 富太郎
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