富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「出世払い」
新年度4月1日になると、多くの新社会人が誕生することでしょう。
よく「出世払い」と言って、お金や物のやり取りが行われますが、
この「出世払い」というのは、返す必要があるのか、ないのか。
実は裁判にもなっており、司法書士試験でも出題実績があります。
民法21-4-ア (教授と学生のやり取りという、問題形式です。)
教授: 法律行為をするに当たって、その効力を制約するために条件
又は期限を定めることがありますが、条件と期限とはどのように
区別されますか。
学生: 発生するか否かが不確実な事実にかからせるものは条件であり、
発生することが確実な事実にかからせるものは期限です。
したがって、例えば、債務者が出世した時に借金を返済するという
出世払いの約定は、債務に停止条件を付したものであるといえます。
答 × 条件とは、「法律行為の発生又は消滅を、将来の成否不確実な事実に
かからせる、という内容の意思表示」であり、これに対して、期限とは、
「法律行為の効力の発生・消滅又は履行を、将来到来することが確実な事実
の発生にかからせる、という内容の意思表示」であります。
したがって、前半は正しいのですが、出世払いに関して判例は、『出世し
たら返してくれ、しなかったら返さなくていい』なとどという契約は通常は
しないという理由で、不確定期限だと判じました(大判大4.3.24)。
例えば、債務者が死亡した場合には「出世しないこと」が確定するので、
『停止条件』の場合には、条件が成就することはなくなり、支払いは不要に
なります。
一方、『不確定期限』の場合は、「出世するまで支払いを待ってあげる。」
ということなので、「出世しないこと」が確定すれば、もう待ってはもらえず
相続人は支払いをしなければならないことになります。
上記は大正時代の今日3月24日、今でいう「最高裁」で出された判決です。
思うに、最初はあげるつもりであったものが、後に関係が悪くなったとか、
「学費に使う」と言ったから渡したのに、実はギャンブルで使ってしまった
というような内容であった気もしますが、こじれると最高裁まで行く・・・。
親しき中にも礼儀あり。
特に、お金の貸し借りには、気をつけましょう。
今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。 富太郎
★リーガルリテラシーとは、
「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
です。