富太郎の『ちょこプレ』2024.3.10

記事
コラム
富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「大学の単位認定は裁判対象か?」
 卒業試験、学年末試験の結果は、もう出た頃でしょうか。
「憲法」の資格試験の勉強をしていると、『司法』に関する項目で、必ず
出てくる話題に、「部分社会の法理」というものがあります。

 司法書士試験の過去問でいうと、憲法 令和2-3-イ
問 大学における単位の授与(認定)行為は、当該大学の自主的、自律的な
 判断に委ねられるものであるが、それが一般市民法秩序と直接の関係を
 有することを是認するに足りる特段の事情がある場合には、司法審査の
 対象となる。
答 〇 判例は、一般市民社会の中にあってこれとは別個に自律的な法規範
 を有する特殊な部分社会における法律上の係争は、それが一般市民法秩序
 と直接関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、自主的、自律的な
 解決に委ねるのが適当であり、司法審査の対象にはならない(「部分社会の   
 法理」)とした上で、大学は、その設置目的を達成するために必要な事項を
 学則等により規定し実施する自主的・包括的な権能を有し、一般市民社会
 とは異なる特殊な部分社会を形成しているから、単位授与行為は、他に
 それが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを是認するに
 足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として、裁判所の
 司法審査の対象とはならないとした(最判昭52.3.15 富山大学事件)。
  よって、一般市民法秩序と直接の関係を有することを是認するに足りる
特段の事情がある場合には、裁判所の司法審査の対象になる。

 憲法の入門テキストによれば、
 ・「単位認定」 ⇒ 単なる内部事情にとどまる ⇒ 司法審査の対象外
 ・「専攻科修了認定」「卒業認定」 ⇒ 一般市民法秩序と直接関連
                        ⇒ 審査の対象となる
 のだそうです。

 この判決には続きがあって、「もっとも、本件単位授与(認定)行為が一般
市民法秩序と直接の関係を有するものであることについては、上告人(学生)
らはなんらの主張立証もしていないので本件単位授与(認定)行為は、裁判所の
司法審査の対象にはならない。

⇒ 最高裁まで争って「そこ(弁論主義)の問題かい!」という感じです。
「弁論主義」については、「富太郎の『ちょこプレ』2024.3.3」を
ご参照ください。

今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎

★リーガルリテラシーとは、
「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
 です。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す