富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「私文書偽造罪」
先日、50年近く逃亡していた指名手配犯を称する人物が、名乗り出て、
病気ですぐに亡くなりました。 事の真相は、今のところ明確にはなって
いませんが、偽名を使って長年にわたり、工務店で働いていたとのこと。
最初に就職したときに、偽名の「履歴書」を提出していたとしたら・・・。
刑法159条【私文書偽造等】
1項 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは
事実に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは
署名を使用して権利若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した
者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
3項 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書
又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の
罰金に処する。
⇒ 有印(1項)に比べ、無印(3項)は処罰が軽くなっています。
この件に関しては、司法書士試験の過去問に出題実績があります。
刑法 30-24-オ
問 Aは、就職活動に使用するため、履歴書に虚偽の氏名、生年月日、経歴等
を記載したが、これに自己の顔写真を貼付しており、その文書から生ずる
責任を免れようとする意思は有していなかった。この場合、Aは、私文書
偽造罪は成立しない。
答 × 虚偽の氏名等を記載した履歴書を作成した行為は、たとえ自己の
顔写真が貼り付けられ、あるいは文書から生ずる責任を免れようとする
意思を有していなかったとしても、名義人と作成者との人格の同一性に
齟齬があり、私文書偽造罪が成立する。 (最決平11.12.20)
なお、受験シーズン真っ盛りですが、「私大の入試答案」も『事実証明
に関する文書』に該当するとの判例があります。 (最決平6.11.29)
今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。 富太郎