富太郎の『ちょこプレ』2024.1.28

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コラム
富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「代表取締役の解職」

 今週、大手企業の社長さんが、引責辞任するとの報道がなされましたが、
これは(かたち的には)、「自ら職を辞する」ということなので、登記原因
は『辞任』となります。
 一方、昨年の暮れに北関東の地方テレビ局で、取締役会において社長が解任
されたという報道がありました。こちらの登記原因は『解任』となります。

 会社法362条[取締役会の権限等]2項3号で、代表取締役の選定及び
解職は「取締役会」に権限があるとされています。
 そして、代表取締役の「選定時」には、本人に議決権がありますが、「解任
決議時」は、『特別利害関係人』に当たるため、本人に議決権は認められて
いません(369条[取締役会の決議]2項)。

 この解任時の取締役会では、社長解任の『緊急動議』が提出され、特別利害
関係人として議場を退席させられ、解任が決議されました。 新代表者の選任
(解任された前代表者も、取締役ではあるので、議決権あり)決議も含め、
全議案を決定して、取締役会はわずか16分で閉会されたそうです。
(テレビや映画の世界のようなことが、現実に起こるのですね。)

 さて、「代表取締役の解任」に関する司法書士試験の過去問ですが、
会社法 平成31-31-エ
問 取締役会の決議による代表取締役の解職は、当該代表取締役に対し、
 当該決議を告知することによって、その効力を生ずる。
答 × 代表取締役と株式会社との関係は委任に関する規定に従うため
(会330条)、取締役会は、いつでもその決議によって代表取締役を
解職することができる。 この点、取締役会の決議による代表取締役の
解職は、その決議により直ちにその効力を生ずるのであり、代表取締役に
対する告知があって初めて生ずるものではない。(最判昭41.12.20)
(ひねって、返って間違えようがなくなったような・・・。)

 実はこの解職された社長さんが、地元の大手地銀の出身者ということで、
次の株主総会(たぶん6月)が注目されます。
 取締役会の構成員である各取締役は、株主総会の決議で解任することが
出来るので(会341条)、大株主の意向で、取締役会のメンバーが入れ
替わり、その新メンバーが別の代表取締役を選ぶ可能性もあるからです。

今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎

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