富太郎の『ちょこプレ』2023.12.24

記事
コラム
富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「信教の自由」

 今日はクリスマス・イブ。
コロナ禍が落ち着いて(?)、久しぶりに盛りあがるのではないでしょうか。
 毎年この時期に思うのは、お寺さんの子も、クリスマスを楽しむのか?
 キリスト教のうちの子も、神社やお寺に初詣に行くのか?
そこは、個人の自由なので、第三者がとやかく言うことではないと思います。
少なくとも、日本では。

 日本国憲法では、20条1項前段で「信教の自由は、何人に対してもこれを
保障する。」と規定し、2項で「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事
に参加することを強制されない。」と規定し、それぞれ信教の自由を保障する
旨を明らかにしています。

 そこで、司法書士試験の過去問です。
憲法 令和3-1-ウ  判例の趣旨に照らし正しいか?
 憲法20条3項の「政教分離規定」は、いわゆる制度的保障の規定であっ
て、私人に対して信教の自由そのものを直接保障するものではないから、
この規定に違反する国又はその機関の宗教活動も、それが同条1項前段に違反
して私人の信教の自由を制限し、あるいは2項に違反して私人に対し宗教上の
行為等への参加を強制するなど、憲法が保障している信教の自由を直接侵害
するに至らない限り、私人に対する関係で当然には違法と評価されるものでは
ない。
答 〇
この問題は「最大判昭63.6.1・自衛官護国神社合祀事件」を知っていますか?
という設問だと思われます。

 この裁判は、公務中に交通事故で死亡した殉職自衛官Aさんの妻でクリス
チャンのXさんが、私人である社団法人隊友会Y県支部連合会(県隊友会)が、
自衛隊Y県地方連絡部の職員(地連職員)の協力を得て、Xさんの意思に反して
AさんをY県護国神社に対して合祀申請して同神社に合祀させたことに対して
政教分離原則の違反や、宗教上の人格権としての静謐な宗教環境の下で信仰
生活を送るべき利益が侵害されたことを理由に、県隊友会と地連職員が所属
する国に対して慰謝料を請求した、という事件でした。

最高裁は、まず、政教分離原則に違反するとの主張に対して、
本件合祀申請は、地連職員との合同行為ではなく、実質的にも県隊友会(私人)
の単独の行為と評価した上で、県隊友会に協力していた自衛隊員の行為は、
宗教とのかかわり合いは間接的であり、その目的も合祀の実現により自衛隊員
の社会的地位の向上と士気の高揚を図ることにあったと推認され、その宗教的
意識も希薄であったのであり、その行為の態様からして、国またはその機関と
して特定の宗教への関心を呼び起こし、あるいはこれを援助、助長、促進し、
または他の宗教に圧迫、干渉を加えるような効果をもつものと一般人から評価
される行為とは認め難いとして、地連職員の行為は、宗教活動にあたらないと
判示し、政教分離原則違反を否定しました。

 同最高裁は、次に、宗教上の人格権を侵害されたとする主張について、
信教の自由の保障は、何人も自己の信仰と相容れない信仰を持つ者の信仰に
基づく行為に対して、それが強制や不利益の付与を伴うことにより自己の
信教の自由を妨害するものでない限り、寛容であることを要請し、原審が
宗教上の人格権であるとする静謐な宗教環境の下で信仰生活を送るべき利益
なるものは直ちに法的利益として認めることはできないとして、Xさんが
主張する宗教上の人格権としての利益の侵害も認めませんでした。

 この判決を支持するかどうかも、個人の「宗教観」等によると思います。
宗教観の違いでいがみ合う地域があったり、戦前の日本や、踏み絵の時代を
考えると、憲法20条『信教の自由』の重みがズッシリと感じられる
クリスマス・イブではないでしょうか。

今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎






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