富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「衆議院の優越」
先日、NHKで「参議院予算委員会」の中継を放映していました。
司法書士試験でも、『国会』に関する問題がときどき出ます。
憲法 平成18-2-2
法律案と同様に、予算は、衆議院と参議院のいずれに先に提出してもよい。
答え × 法律案と異なり、予算は衆議院に先議権が認められ、先に、
衆議院に提出しなければならないと定められている。 (憲法60条1項)
なお、条約の承認につき衆議院に先議権は認められていない。
憲法 平成26-2-3
予算については、衆議院の優越が認められており、参議院が衆議院と異なった
議決をした場合であっても、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び
議決したときは、衆議院の議決を国会の議決とすることができる。
答え × 予算の議決については衆議院の優越が定められており、予算に
ついて、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところ
により、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、
衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。 (憲法60条2項)
国会の意思は両議院の意思の合致によって成立するのが原則ですが、両議院の
意思が合致しない場合には国政が停滞してしまう恐れがあります。
そこで、国政上重要な事項については『衆議院の優越』が認められています。
「衆議院の優越」について具体的には、
両院が異なる議決をした場合 両院協議会の開催
・法律案(59条) 衆議院が出席議員の3分の2 任意
以上で再議決 ⇒ 衆議院が決定
⇒ 衆議院の議決が国会の議決
・予算(60条) 両院協議会を開催 必要
意見不一致 (必ず開催)
⇒ 衆議院の議決が国会の議決
・条約の承認 両院協議会を開催 必要
(61条) 意見不一致 (必ず開催)
⇒ 衆議院の議決が国会の議決
・内閣総理大臣 両院協議会を開催 必要
の指名(67条) 意見不一致 (必ず開催)
⇒ 衆議院の議決が国会の議決
「法律案」だけ、『衆議院3分の2の賛成で再可決』をして、衆議院の意見を
通し、「予算」「条約の承認」「内閣総理大臣の指名」は、『自動的に衆議院
の意見で決まる。ただし、両議院協議会が必要。』という2パターンです。
なお、衆議院に先議権があるのは、「予算」だけです。
衆議院が参議院に比べて優越的な地位を与えられている根拠は、衆議院には
解散制度があり、参議院に比べて議員の任期が短いため、民意を反映しやすい
ことに求められるといわれています。
ではなぜ国会は衆議院と参議院で構成されているのか?(憲法42条)
日本国憲法が二院制を採用した趣旨は、異なる選挙制度や議員の任期が異なる
こと等によって、多角的かつ長期的な視点からの民意を反映させ、衆議院と
参議院との権限の抑制と均衡(議会の専制防止)を図り、国政の運営の安定性、
継続性を確保しようとしたものと解されているようです。
今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。 富太郎