富太郎の『ちょこプレ』2023.11.26

記事
コラム
富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「法人の人権」

 最近、マスコミの報道で「企業献金」に関する記事が目につきます。
いろいろな意見があるようですが、資格試験の勉強をしていると、憲法の
問題で時々取り上げられています。

司法書士試験 憲法 平成25-1-ア
 会社は、公共の福祉に反しない限り、政治的行為の自由を有するが、会社
による政治資金の寄付は、それによって政治の動向に影響を与えることがあり
国民の参政権を侵害しかねず、公共の福祉に反する結果を将来することになる
から、自然人である国民による政治献金の寄付と別異に扱うべきである。
答え × 会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、
推進し、又は反対するなど政治行為をなす自由を有し、その一環として政治
資金の寄付をする自由を有する。これによって政治の動向に影響を与えること
があったとしても、自然人たる国民による寄付と別異に扱うべき憲法上の
要請があるものではない。 (最判昭45.6.24 八幡製鉄事件)

 企業献金に関してはいろいろなお考えの人がいそうですが、、この裁判は、
株主の人が、①本件政治献金は、会社の定款に定められた目的の範囲外の
行為であるから、会社は政治献金をする権利能力を有しない。 ②株式会社の
政治献金が、自然人である国民にのみ参政権を認めた憲法に反し、民法90条
(公序良俗)に反するため無効である。 と主張して争われたものでした。

 一方、まだ司法書士試験には出ていませんが、憲法のテキストに載っている
こんな判例もあります。 南九州税理士会事件 (最判平8.3.19)
[判旨] 税理士会といった強制加入団体が特定の政党へ政治献金をすることを
放置すると、その構成員が持つ個々の思想・良心の自由(憲法19条)が踏みにじ
られる危険性がある。したがって、税理士会には特定の政党に対して政治献金
をする自由は保障されていない。
 ⇒ 「強制加入団体」= 加入しないと税理士業務ができない。 
  というところが、ポイントのようです。

 さらには、 群馬司法書士会事件 (最判平14.4.25)
[判旨] 大規模な自然災害により被災した地域の司法書士会に復興支援拠出金
を寄付するために特別の負担金を徴収することは、司法書士会の権利能力の
範囲内であり、同会が強制加入団体であることを考慮しても、公序良俗に
反するなど会員の協力義務を否定すべき特段の事情がある場合を除き、
多数決原理に基づき自ら決定することができる。

 これらの判決が契機になったのかどうかは分かりませんが、各士業団体は、
加入が任意の『〇〇士政治連盟』という別団体を設立して、政治活動は
そちらで行われているようです。

今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎


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