富太郎の『ちょこプレ』2023.11.19

記事
コラム
富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「職業選択の自由(憲法22条)」

 先日の報道で、日テレの女子アナSさんの年内退職が発表されました。
Sさんと言えば、採用就職時に、学生時代の銀座のクラブでのアルバイトが、
アナウンサーとしての「清廉さ」に欠けるとして、内定が取り消されたことに
対して、『地位確認訴訟』の裁判を起こし、裁判所の和解勧告により、内定
取消しが取り消されて、アナウンサーとして就職、活躍されたとの経緯が
ありました。 当時は、「日テレ側の主張理由が、内定取り消しの要件を満た
さない」との心証を裁判所側が持っての『和解勧告』ではないかと言われ、
日テレ側が企業イメージのダウンを恐れて、応じたのではないかと噂されたも
のでした。 現にフジテレビの社長は「うちなら採用する。」と発言したり、
歌手の松山千春さんがご自身のラジオ番組で、「職業に貴賤はないっしょ。
(職業選択の自由は)憲法で保障されているわけだし。」と主張したりと、
日テレ側の旗色は悪かったようです。 とはいえ、就職しても自分の就職先
と裁判をしたわけですから、入社後もいろいろとご苦労があったことと推察
いたします。 人生の次のステージも、元気で頑張ってください。

 さて、採用がらみで憲法のテキストに必ず出てくる裁判があります。
例によって、司法書士試験の過去問から。 令和3年1-エ
 企業が、労働者の採否を決定するに当たり、労働者の思想、信条を調査し、
労働者からこれに関連する事項についての申告を求めることは、労働者の思
想、信条の自由を侵害する行為として直ちに違法となる。

答え × 在学中の学生運動歴について、入社試験の際に虚偽の申告をしたと
いう理由で、3か月の使用期間満了直前に本採用を拒否された者が労働契約
関係存在の確認を求めた事案において、判例は19条(思想及び良心の自由)、
14条(法の下の平等)の人権規定は私人相互間には直接適用されず、私人間に
おいては、権利の矛盾、対立の調整は原則として私的自治に委ねられ、その
侵害の態様、程度が社会的に許容し得る程度をこえるときは、立法措置に
よって是正を図り、又は、私法の一般条項によって適切な調整を図る方途も
存在するとしました。
 その上で、判例は、企業者が経済活動の一環としてする契約締結の自由を
有することに鑑みると、特定の思想・信条を有する労働者の雇入れを拒んでも
当然には違法ではなく、さらにその採否決定のために労働者の思想・信条を
調査し、その者から思想・信条に関する申告を求めても違法ではないとし
ました。 (最高裁大法廷 昭和48.12.12 三菱樹脂事件)
今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎
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