富太郎の『ちょこプレ』

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コラム
富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「不法行為による損害賠償」

高校生のやった迷惑動画の投稿に、被害企業側から何千万という損害賠償
の請求があったようです。

民法709条は『故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を
侵害したものは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。』と規定
しています。

ただし、712条で『未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の
行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為に
ついて賠償の責任を負わない。』とも、規定されているのですが、

この「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」、すなわち『責任能力』
について、判例はおよそ12歳前後を境に肯定しているようです。

したがって、高校生には『責任能力』が認められ、損害賠償を支払う責任が
ありますが、高額の賠償金の支払いは、現実的には無理でしょう。

そこで補充的に設けられているのが714条で『責任無能力者が責任を負わない
場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任
無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。 ただし、監督義務者
がその監督義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ず
べきであったときは、この限りではない。』と規定しています。

それでは、責任能力がある場合はどうなるのか? 判例(最判昭49.3.22)は、
「加害者に責任能力があっても、監督義務者の義務違反と損害結果との間に
相当因果関係が認められれば、監督義務者につき民法709条の不法行為責任が
成立する。」と判示しています。

以上を踏まえて出題されたのが、司法書士試験 平成31年民法31-19-ア
不法行為をした未成年者が責任を弁識する知能を備えている場合であっても、
その未成年者の監督義務者が監督義務を果たさなかったことと損害との間に
相当因果関係が認められるときは、監督義務者は民法714条第1項に基づく
責任を負う。
答え ×  (責任を弁識する能力を備えているので、適用条文は709条の
不法行為責任となります。)  なんて「知るか!」と言いたくなる問題。

今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎








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