事業を前に進めるための、具現化のチカラ

告知
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プロジェクトの進行において、我々はお客様の業務フローを最適化するという目標を持ち、それに向けての具体的なプロセスを模索しました。まず、現状のお客様の業務フローを理解し、どのような形であればより効率的か、またお客様にとって最適な体験を提供できるかを考えました。このプロセスでは、お客様の業務フローが理想的にどのようにあるべきか(To-Be)を描き出し、現実の業務フローとのギャップを明確にしました。

このギャップを埋めるために、既に提供しているプロダクトの機能や性能をどのように拡張・発展させればよいかを検討しました。この過程では、課題の発見と定義、解決策の幅出し、計画立て、そしてその仮説の検証というステップを踏んでいます。これは、アイディアの発散と収束を繰り返すプロセスです。発散では、多角的な視点から様々な可能性を探求し、収束ではそれらの中から最も実現可能で効果的なものを選定します。

各フェーズにおいては、チームの特性や雰囲気、事業フェーズに応じて、最適な手法やアプローチを選択しました。例えば、課題の発見ではブレインストーミングや顧客インタビューを行い、解決策の幅出しではクリエイティブワークショップやSWOT分析を利用するなど、さまざまな方法を用いています。また、仮説の検証段階では、プロトタイピングやユーザーテストを行い、実際のユーザーの反応やフィードバックを基にして、プランを調整しました。

このように、発散と収束のサイクルを通じて、お客様にとって最適なソリューションを模索し、実現に向けて努力を重ねてきました。それぞれのフェーズでの経験や学びは、今後のプロジェクトにも活かしていくことができる貴重なものとなっています。

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事業の可能性を探るために、私たちは事業部全員が参加するワークショップを開催しました。このワークショップの目的は、私たちのプロダクトであるAssuredが解決を目指すセキュリティリスク評価業務に関わる複雑な問題の全体像を理解し、未来の可能性を探ることにありました。ここでの重要なポイントは、多様な視点からの意見やアイディアを集めることで、さまざまな選択肢を洗い出し、妥当な選択を導き出すことでした。

ワークショップでは、「価値マップ」づくりという手法を採用しました。この手法は、複数のステークホルダーが関与する業務の全体像や依存関係を可視化するのに有効です。価値マップを通して、参加者たちはセキュリティリスク評価業務における各ステークホルダーの役割や関連性を深く理解し、それぞれが思い描くプロダクトの未来像についての洞察を共有しました。

通常、課題を見つけるためにはユーザーリサーチを行うことが一般的ですが、今回のワークショップではそのアプローチを取りませんでした。その理由は、Assuredが市場において新しい試みであるため、既存のユーザーリサーチだけでは捉えきれない新たな視点やアイデアが必要だと考えたからです。もちろん、日常的な商談や過去のインタビューを通じて得られたお客様の生の声は重要な情報源であり、それらはワークショップでの議論にも活かされました。

このワークショップを通じて、チームメンバーはそれぞれの視点から得た洞察を共有し、お客様が抱える問題の全体像を明確にしました。また、プロダクトの未来像についても深く考察し、新たなアイデアや提案が生まれました。このような多角的なアプローチは、事業の可能性を探る上で非常に有効であり、Assuredの今後の発展に大きく貢献するでしょう。

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このワークショップでは、参加者たちを3つのグループに分け、「お客様が困っていること」をテーマにアイデア出しを行いました。各グループは、日々の商談議事録、プロダクトへのフィードバック、そしてチェックシート回答者やセキュリティ担当者としての個人的な経験や感じている観点を基に、お客様が直面している問題やその背景にある価値を探求しました。この過程で、参加者たちは多様な視点からのアイデアや提案を活発に交換し、お客様のニーズや課題に対する深い理解を共有しました。

ワークショップを全員参加にすることで、さまざまな背景や専門知識を持つ参加者たちが一堂に会し、多様なアイデアや視点を出し合うことができました。これにより、単にアイデアのバリエーションを広げるだけでなく、各自が持つユニークな視座や見えている景色を相互に理解し、共有する機会となりました。このような交流は、参加者たちが互いの立場や考え方を理解し、お互いの知見を補完することで、より豊かで実用的なアイデアを生み出すことに貢献しました。
また、このワークショップは組織開発の観点からも非常に有意義でした。チームメンバーが互いの視点を共有することで、組織内のコミュニケーションが促進され、チームの一体感が強まりました。さらに、異なる部署や役割を持つメンバーが協力してアイデアを出し合うことで、組織横断的な視点を持つことの重要性を再認識し、組織全体の柔軟性と革新性を高めることができました。
このワークショップを通じて、お客様の課題に対する深い洞察を得るとともに、組織内でのコラボレーションと相互理解を深めることができたため、事業の発展と組織の成長の両方に寄与する結果を得ることができました。

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事業とお客様の現状を具現化し、取り組むべき課題を探るために、私たちは「価値マップ」を作成しました。この価値マップにより、事業における複数の依存関係や、レバレッジ(影響力)を発揮できるポイントが明らかになりました。これらのポイントは、今後の機能拡張の足がかりとなるだけでなく、既存の機能にも良い影響を及ぼす可能性があるという仮説を立てました。

この仮説がビジネスとユーザーの両面にどのような影響を及ぼすかを具体的に考えるために、私たちは「グロースサイクル」と「ストーリーマッピング」という考え方を取り入れました。グロースサイクルは、事業の成長過程を可視化し、どのようにしてユーザーベースを拡大し、収益性を向上させるかを検討する手法です。一方、ストーリーマッピングは、業務フローやユーザー体験を物語のように展開し、プロダクトの機能や価値を整理する手法です。

ビジネス上の観点とユーザー体験の両方をバランスよく考慮することは重要です。ビジネス観点が強くなりすぎると、ユーザー体験が犠牲になる可能性があります。逆に、ユーザーの課題を解決できるが収益性が不十分な場合も考えられます。私たちはこれらのバランスを取りながら議論を進め、どのようにしてビジネスの成長とユーザーの満足を同時に達成できるかを模索しました。

具体的には、グロースサイクルを描くことで、今回の仮説が持つポイントがユーザーの継続的な利用や収益性、プロダクトの拡張にどのような影響を及ぼすかを検討しました。また、ストーリーマッピングを用いて、業務フローを詳細に分析しました。現在提供している機能がどのような価値を提供しているか、そして仮説として考えている機能がそれを相互に増強するものになる可能性があるかを検討しました。

このようなアプローチを通じて、私たちは事業とお客様の現状をより深く理解し、取り組むべき課題を明確にすることができました。また、これらの課題に対して実行可能で価値あるソリューションを提案するための基盤を築くことができたのです。

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解決策のアイデアを具現化し、提供価値をシャープにするため、事業長、プロダクトマネジャー、ドメインエキスパート、そして私の4人でチームを組んでこのフェーズを進めました。このチームは、各々が異なる専門知識と経験を持ち合わせており、それぞれの視点からアイデアを洗練させ、より実用的で価値の高い解決策を提案するために集まりました。

この段階で、私たちは特にサービス台帳やサービス検知機能に焦点を当て、これらの機能がどのような形で理想的なユーザーストーリーを実現できるかを深く考察しました。また、それらの機能がどのような情報を管理し、どのようにユーザーにとって有用であるか、さらには将来的な機能拡張の可能性についても議論しました。
「OOUI」の概念を参考にしながら、私たちはサービス台帳におけるオブジェクトのプロパティ(例えば、管理するデータの種類やサービスとの関連性など)について詳細に話し合いました。この過程で、特にドメインエキスパートからの貢献が顕著でした。彼らは、最低限必要な機能要件や、特定の情報がどのような状況でユーザーに役立つかといった、具体的で実践的な仮説を提供しました。
これらの仮説と提案は、議論をさらに具体的かつ生産的にするための貴重なインプットとなりました。それにより、私たちはユーザーのニーズに合致する機能を精密に設計し、実装に向けた道筋を作ることができました。このフェーズを通じて、私たちはプロダクトの提供価値をよりシャープにし、ユーザーにとって実際に価値のある解決策を提供するための基盤を固めることができたのです。


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その後のプロセスでは、議論されたアイデアと機能を画面のデザインに落とし込む作業に移りました。私たちは「Lo-Fi プロトタイプ」を作成するために、FigJamを活用しました。この段階では、手描きの画面や付箋を使って、さまざまなアイデアを視覚的に表現しました。この方法は、柔軟性が高く、アイデアを迅速に試すことができるため、初期のデザインプロセスに最適です。

最初に作成したプロトタイプは、あえてすべてのアイデアや機能を詰め込んだ、いわば「全部入り」のものでした。その後、このプロトタイプを徐々に洗練させ、不要な要素を削ぎ落としていくことで、プロダクトがお客様を置き去りにしないよう、また足元の課題にのみフォーカスしすぎないように、バランスを取りながらデザインを進めました。

次に、このLo-Fi プロトタイプを基に、既存のプロダクトを拡張する際のステップや、どのようにして理想状態に持っていくとユーザーにとって最も受け入れやすいかを考慮しました。また、実現可能性や事業計画を踏まえて、どこまでの範囲をMVP(Minimum Viable Product)とするかについても議論しました。

ある程度方向性が固まった段階で、Hi-Fi(高忠実度)プロトタイプの作成に移りました。この高忠実度プロトタイプは、既存のコンポーネントを活用し、工数を抑えながらも、リアルな見た目のデザインを提供します。これにより、プロジェクトチームのメンバーやビジネス開発チーム、エンジニアなど、幅広い関係者にとって、プロダクトのイメージがしやすくなりました。

最終的に、これらの議論を経て、初期リリース時の要件と機能拡張時の要件を具体的に分け、プロトタイプを随時アップデートしました。このプロセスを通じて、より明確でユーザーにとって価値のあるプロダクトを形にすることができたのです。

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このプロジェクトの段階では、チーム内での納得感はある程度得られましたが、まだ実際の市場での反応やニーズについては未知数でした。したがって、これらの仮説を検証するために、社外でのニーズ検証を行うことが重要でした。

この検証のアプローチとして、ビジネス開発メンバーがプロダクトの構想と画面イメージを含む商談資料を作成しました。この資料は、Figmaで作成されたデザインを活用し、お客様に対して具体的なビジュアルを提示することで、よりリアルなフィードバックを得ることができるようにしました。商談の場で直接お客様に見せることで、プロダクトに対する生の意見や反応を収集し、それをもとに仮説を検証しました。

この方法により、実際のお客様がプロダクトに対して持つ期待や要望を直接聞くことができ、チーム内での議論だけでは見えてこなかった視点を得ることができました。また、デザインを具現化することで、お客様を含めて誰もが議論に参加しやすくなり、事業をより前進させることが可能になりました。

これらのプロセスを経て、初期バージョンの機能がリリースされました。リリース後も、お客様からの様々なフィードバックを受け取り、それをもとにプロダクトの改善活動を続けています。この継続的な改善活動は、PSF(Product Solution Fit)とPMF(Product Market Fit)に向けた取り組みであり、ビジネスとプロダクトの両面での成長と発展を目指しています。

このように、商談におけるデザインの活用と仮説の検証は、市場のニーズを理解し、より顧客に寄り添ったプロダクトを開発するための重要なステップでした。お客様の声を直接聞き、それに基づいてプロダクトを改善し続けることで、より多くの顧客に価値を提供することが可能になるのです。


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具現化によって生まれる議論と対話は、プロダクト開発において非常に重要な役割を果たします。具体的なビジュアルやプロトタイプがあると、社内外の関係者がより具体的なイメージを持ち、プロダクトについての議論に参加しやすくなります。これにより、「こういうイメージですか?」「こういうことって予定してますか?」「こうなった方がいいのでは?」「これお客様からも話が出たので次回話してみます」といった様々な意見やアイデアが交わされ、プロダクトの方向性や改善点を探ることができます。

このプロセスは、発散と収束を繰り返し、さまざまな手法を用いて共創しながら価値を整理していくものです。これらの手法は、プロジェクトを進める上で非常に役立ち、チームメンバー間の理解を深め、より良いアイデアを生み出す基盤となります。また、これらのやり方は常にアップデートされるべきものであり、プロジェクトの進行とともに、より効果的で精度の高いものへと進化していくことが重要です。

今回作成した機能は、磨きをかけつつ次の一手を考える過程で、お客様や組織の現在の状況を細かく観察し、それに基づいて継続的に改善を図ることが求められます。お客様や市場のニーズに合わせてプロダクトを進化させることで、より多くの価値を提供できるようになり、プロダクトの成功に貢献することができるのです。このように具現化によって生まれる議論と対話は、プロダクト開発の核となるプロセスであり、常に重要視されるべきものです。


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