「ジンジャーシロップ」と「発酵」

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コラム
先月、発酵教室「発酵ジンジャーエールシロップを作る」に参加してきました。ジンジャーエールの元となるシロップです。「発酵」というと少し独特の匂い(悪く言えば臭い)のするものというイメージを持っていましたが、良く考えてみるとジンジャエールの匂いをまじまじと嗅いだことはありませんでした。

教室には老若男女20名が参加していました。机の上には生姜、レモン、ライム、ハーブ、黒糖が綺麗に並べられています。ちょっとした講義の後、作業が始まりました。講師の指示に従って、黙々と材料を切ります。

わたしは何故かこの黙々と何かを切る、刻むという行為に安心感を覚えます。昔、精神的にしんどい時に知人に誘われ「リモンチェッロ」(イタリアのお酒)を一緒に作ったことがありました。誰にも会いたくない、話したくない精神状況でしたが、皮むき器でレモンの皮を剥いていると、レモンの香りに包まれ幸福感を味わっていました。恐らく黙々とした作業が頭の中の思考反芻を止めてくれ、レモンの爽やかな香りが尖った神経をなだめてくれたのでしょう。

切る作業が終わるとあとは瓶に詰めて行くだけです。黒糖、食材、黒糖、食材の順で詰め、蓋をすれば完成です。25度の室温で4~5日程度でシロップは完成するとのことでした。家でやることは1つだけ。一日2,3回スプーンで混ぜるだけ。実はこの後1週間ほど北海道に行く予定があり、混ぜる行為を母親にお願いし、北海道に旅立ちました。

北海道から帰り、すぐに瓶の中を見ると小さな気泡が下から上に向かってゆっくりと上って行きます。蓋を開けて匂いを嗅いでみるとうっすらジンジャエールの香りがします。数日前、ただ食材を刻み、ハーブと黒糖を入れただけのものが「発酵」しているのです。何とも不思議な感じがしました。数日後、氷の入ったグラスにシロップをいれ、買って来たウィルキンソンを注ぎ、飲んでみました。

「うーん、うまい」

本当に美味しいジンジャエールでした。偉大なる「発酵」。素材の持つ酵母や菌が混ざり、それが触媒となってエタノールと二酸化炭素に変わる。その過程でエネルギーが発生し、有益なものが出来上がる。人も同じだと思っています。自分のもつ素材である潜在能力が環境、思考、アクションによって有益なものに変わって行く。このことを多くの人に知っていただきたいと思っています。


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