意見を受け止める力

記事
ビジネス・マーケティング
以前NHKEテレの「100分de名著」で、「貞観政要」を取り上げていました。私はそれまでこの書を知りませんでした。唐の二代皇帝・李世民と、彼を補佐した重臣たちとの間で交わされた問答をもとに編纂されたものだそうです。理想のリーダーや組織のあり方を学ぶことができます。李世民は臣下たちの忌憚のない厳しい諫言にもよく耳を傾け、自らの政治方針を改善し続けました。真のリーダーは、見栄を捨て器を広げることで、自らを律することができる。そんな教えです。

私はここから漢の建国者劉邦を思い出しました。時代背景もタイプも全然違いますが、「周囲の意見をしっかり聴く」という姿勢に共通点を感じます。劉邦は農民から頂点を極めました。中国で農民から出発して、皇帝に即位したのは劉邦と明を建国した朱元璋の二人だけです。日本では豊臣秀吉ですかね。いずれにしても大混乱、戦国、下剋上の時代ならでは。劉邦も混乱に乗じてのし上がっていきました。

この時のライバルが項羽です。項羽は生まれも、武力も、カリスマ性も劉邦をはるかに上回っていました。でも最後は劉邦が勝った。劉邦は若いころはチンピラのような生活を送っていて、40歳を超えてから時代の流れに乗り始めます。劉邦の良い点は何か?①人に好かれる愛嬌を持っていた、②周囲の意見をよく聴いて上手に取り入れた、③見た目が立派だった(体が大きく堂々)、以上の3つです。①②については項羽は真逆。

この①②には因果関係があります。愛嬌があるから周囲が本音で話す→その意見をしっかり受け止める→ますます好かれて距離が縮まる→・・・、好循環ですね。それで見た目が立派で、寛容性もある。いつの間にか人が集まってくる。反対に自分本位の項羽は超不人気。しかし、愛嬌があって聴き上手だったら出世できるかというと、そうではありません。やはり選択眼が素晴らしかったのでしょう。優れた人材もどんどん集まってきます。

だいぶ前に「カンブリア宮殿」(テレビ東京)という番組に、メルカリ社長の山田進太郎さんが出演していました。なんか同じような雰囲気を感じました。山田さんは強烈な個性を発してはいない。でも「メルカリは人材のブラックホール」と言われ、各界の超優秀な人材が次々に集まってくるらしいです。

李世民も、劉邦も、山田さんも、共通点があるんでしょうね。それは「意見を受け止める力」だと思います。ただ取り入れるのではなく、どう受け止めて、どう解釈し、どう活用するか、そこに「さらなる学び」があるような気がします。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す