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私は国内ミステリーを読むのが大好きで、作家では特に横山秀夫、原尞(はらりょう)の二人が好きです。横山秀夫は「半落ち」「クライマーズハイ」「64(ロクヨン)」などが代表作ですが、64以降6年ぶりの「ノースライト」が最新の長編作品です。派手さはないものの心に響くよいストーリーです。横山秀夫のすごさは、ストーリーテリングの上手さと人物描写の妙にあります。

物事を相手に伝える方法は大きく分けて二つ(と私は思っています)。一つは「PREP法」。もう一つは「起承転結」です。主に前者はビジネスプレゼン、後者は物語に使われますが、横山秀夫は「起承転結」の進め方が巧みで、グイグイ引き込まれてしまう。今回はこの二つの伝達方法について簡単にお話しします。

まず「PREP法」。Pは結論(Point)、Rは理由(Reason)、Eは具体例(Example)、Pは再び結論(Point)です。最初に結論を述べて、直後にその理由を並べる。この三角形で論旨を展開する。その後、理由が結論につながる具体例を上げて主張を裏付けます。冒頭で最も強調したい結論を強く印象付けることで簡潔かつ論理的に要旨を伝えることが可能です。例えば、P:広告案A~Eの中でB案を採用すべきだ。R:①B案が最も印象度が高い。②B案が最も好意度が高い。③B案の製作コストは妥当の範囲内だ。E:①事前の消費者調査では・・・・。P:従ってB案を採用したい。こんな感じです。忙しい社会人はよく上司から「で、結論はなんだ」と言われます。プレゼンの場でも「早く結論を明示してなるべく議論の時間を多くとるように」と要求されたりしますね。そんな時はPREP法が最適です。

これに対して起承転結は真逆。衝撃的な冒頭から手に汗握る展開を経て、予想外の結末へ。そりゃそうですよね。小説がPREP法を使って、「主人公は最後に負けます。なぜなら・・・」と展開したら興ざめです。しかし仕事でも起承転結が有効な場面がある。広告代理店の企画プレゼンなどは起承転結を使用する場合が多いです。「ふむふむ、その先を聞きたい」となったりする。総じてお題に対する回答(問題解決)はPREP法、自主的な提案は起承転結がふさわしいような気がします。この二つの伝達方法を意識したいですね。ちなみにセールス文章では「PASONA」という方法も使われますが、今回は割愛します。

さて「ノースライト」。北面からの光は優しく穏やか。そんな味わいのある小説です。ミステリーに限らず、文学、歴史小説、SFなどのフィクション(小説)を読んで、別世界に浸るのはいいものです。

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