これからの経営

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早稲田大学ビジネススクール入山章栄教授の著書「世界標準の経営理論」は、大変参考になります。この本、「大手企業の経営企画スタッフはぜひ読むべし」と言われている名著です。分厚くて圧倒されますが、私もなんとか読み切りました。多くの気づきがあったので、またあらためて紹介したいと思います。

以前、入山教授の記事が新聞に載っていたので、今回はそれを元に進めます。「経営改革、今がチャンス」というタイトルで、「感染症の影響で先行きが不確実な今こそ、企業はイノベーションを加速すべきだ」という主張です。今までもさんざん「経営変革が必要だ」と言われていましたが、なんだかんだ理由をつけて「うちには難しい」と、多くの企業が避けてきました。しかし、感染を防ぐために、半ば強制的にリモートワークができてしまった。他にもできることがたくさんあるに違いない。今、企業が変われるビッグチャンスだし、これを生かせるかどうかで大きく差が開くと言います。

従来のように時間管理(プロセス)で社員の働きを評価できず、生み出した成果で評価されるようになる。雇用は明確なジョブ型、報酬は成果型になる。「あなたにお願いする仕事はこれです。成果を出してくれたら報酬を支払います」といった感じです。業務委託に近い。1日8時間勤務することに、あまり意味がなくなる。年齢や勤続年数にかかわらず、今まで以上に結果をシビアに求められる社会になるのでしょう。

入山さんはさらに、これからは企業の合併・買収(M&A)合戦になると予測しています。体力的に厳しい会社・事業が多いし、それを体力のある企業やファンドが狙っている。生き残るためには、「知の探索」(イノベーション)と「知の深化」(ノウハウの深堀と業務効率化)のバランスが取れる「両利き経営」が求められると言います。そのためには長期的視点が大事だし、外部の活用(オープンイノベーション)が不可欠です。

今までも言われていたことですが、現在の状況下では納得感が高いですね。確かに従来の制度・規制・慣行がバタバタと変化しています。紙・ハンコ不要、オンライン診療解禁など、やれば出来るじゃん。2008年のリーマン・ショックの時、「100年に1度の危機」と言われました。しかし今回のパンデミックはそれを上回る危機になっています。100年どころか、12年しかたっていない。ぼやぼやしてられません。各企業は「新しい経営環境に向けた取り組み」を開始しています。加速することと縮小することのメリハリをつけ、知恵を出していかなければなりませんね。
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