ポピュリズム

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ここ数年、政治の世界でよく聞く言葉に「ポピュリズム」というものがあります。このポピュリズムとは、極端に単純化した争点を掲げて対象を二分した上で、エリートを敵として徹底的に叩き、大衆の支持を得ることです。民主主義に近い要素もありますが、本質は異なり、やや「大衆扇動」に近い。米国で白人低所得層の支持を得ていたトランプ前大統領のやり方があてはまると言われています。フランス極右政党のマリーヌ・ルペン氏もそうです。

ここで政治について深く語るつもりはありません。しかし時代感を掴むヒントにはなるかもしれない。このポピュリズムは日本ではまだ広がっていません。格差拡大、低成長の悪循環が発生すると人気が出るそうです。感染症の全世界的打撃は間違いなく格差拡大、低成長を後押ししますね。日本は超高齢化社会なので、さらに加速するかもしれない。今は財政再建を先送りして凌いでいますが、いずれ日本もポピュリズムが支持される可能性がないわけではありません。

さてこのポピュリズム、ビジネスや仕事ではどう類推できるでしょう。よく戦略を極端に単純化して、シンプルさを強調することがあります。わかりやすさを全面に出して、「頭でっかちでリアリティがない」と既存戦略を批判する。確かに複雑すぎて混乱しているときは有効です。ただし多様性の否定、画一的正論に陥るリスクもある。例えば、「お客様第一!それが全てだ!」などの強烈な主張。完全に間違っているわけではありませんが、「お客様を見ろ。競争相手は気にするな」になってしまう。競争戦略がすっぽり抜け落ちてしまうわけです。成長市場への参入も遅れる。「他社の真似をするな。Me too戦略は許さん!」みたいになる。愚直で一本調子になってくる。負けが続くと、ある時、「このままじゃだめだ」と気づく。そして「一生懸命なのはいいけど、もっとしたたかになろう。競争戦略を構築しよう」ということになります。渦中にいると、わからなくなってしまうんですね。

でも「わかりやすさ」って魅力的なんです。原点回帰的な求心力がある。こういう時は外部からの目(客観的視点)が必要です。最近の経営(ガバナンス)では、社外取締役や監査委員会の設置など、客観性が求められている。これは不正防止だけではなく、正しい意思決定という目的が大きいです。少しポピュリズムから逸れましたが、無理やり白と黒に分けて選択を迫るのは危険、そんな場合もあると思います。

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