勉強の仕方

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 学習塾で講師を務めていると、「どうやったら成績が上がりますか」という質問はよく受けますし、その答えをずっと考えてはきましたが、「これだ」という回答は一向に見つかりません。

 要するに絶対的な方法は存在しない、ということだとは思いますが、それでも何かしらの回答を出すならば、キーワードは「復習」、これに尽きると思います。

 『勉強の極意は復習にあり』という表現がよくされますが、やはり「復習すること」がどの学年でも、どの教科においても欠かせないものでしょう。

 では、その復習はどのようにしたらいいのか、今回はそれについて考えます。

 「復習」と一口に言ってもその方法は様々あるでしょう。ですが、復習する目的は一つだと思います。

 それは「一度解いた問題を次に解くときに正解できるようにすること」です。

 前にできなかった問題で同じようなミスをするようでは成績が上がるわけがないですし、一度正解した問題でももう一度解いたらできなくなっているようでは、これでも成績は上がりません。

 成績が上がったり下がったりする人は結局、毎回「たまたまできた」と「たまたまできなかった」を繰り返していて、運よくできる問題ばかりが出題されれば高得点を取り、苦手な分野ばかり出題されたら途端に点数が取れなくなるのです。

 そんな、まるで運試しのように試験に挑むのは恐ろしいですよね。
 ならば、せめて一度解いたことがある問題はできるようにしておきたいと思うのが自然でしょう。

 どんな人でも、解いたことのない問題で正解する力を身につけるより、解いたことのある問題で正解する力を身につけるほうが簡単です。

 それに、一度解いたことのある問題でしっかり知識や解法が身についていれば、似たような問題にも対応できるようにもなるはずです。

 したがって、「効率の良い学習法」とは「復習を徹底的にすること」だと思うのです。

 例えばの話になりますが「100問を1周する」ことと「50問を2周する」ことを比べたらどうでしょうか。

 解いている問題数は同じですけど、成績が上がるほうは後者だと思うのです。

 前者は一度解いただけなので、「見たことのある問題」が増えるだけで正解率の上昇はそれほど見込めません。
 反対に、後者の場合は「解けるようになった問題」が増えるはずですので、正解率は格段に上がると思います。

 もちろん、1周目でどれだけできたか、2周目でどれだけ身に付くのかは個人差がありますので、実際はこのような簡単な理屈は通らないのでしょうけど、経験上は後者のタイプのほうが圧倒的によい結果を出します。

 2周してもできない問題があればもう1周すればいいですし、場合によっては自分ができるようにするべき問題を絞って学習することも必要でしょう。

 3周以上してもできないのであれば、いったんその問題は諦める。そういう勇気も必要です。その際は、学校の先生など相談できる人に、どの問題が重要でどの問題はそうではないかが聞けるといいと思います。

 受験でうまくいった子の多くは「復習をしまくったから成績が上がった」「復習の大切さを知った」という感想を持ちますし、うまくいかなかった子は口をそろえて「もっと復習しておけばよかった」と振り返ります。
 やはり一度解いただけではなかなか完璧にはならないのですね。

 このあたり、どうしても受験を終えてからでないと実感できないので、多くの受験生が陥りがちなのですが、どうにも学生は「復習」という行為そのものを軽くみがちです。

 最近特に気になったのが、丸付けをしない子が多いです。
 にわかには信じがたいと思いますが、解いてそれっきりという人が本当に増えました。もしくは、丸付けが雑で、ミスしたところは赤ペンで正解が書いてあるだけという人も多いです。

 もっと言えば、ワークを回収してチェックすると、あちこち間違っているのに丸がついているということも珍しくはありません。


 とにかく生徒たちは新しい問題ばかりを求め、同じ問題を何度も解くことを嫌がる傾向にあります。同じもののくり返しはつまらないと思う気持ちはわかりますが、結局はここがポイントになるのでしょう。
 めんどくさい、つまらないと思うことにどれだけ向き合えるか、これが重要です。

 学年が下になればなるほどこの傾向が強く、テストを終えて、その解き直しをしようとする人は少ないです。

 大半の生徒は点数だけ気にして一喜一憂し、少数の生徒は出来なかった問題と似たような問題を解こうとします。

 それはそれでもちろん必要なのですが、まずはしっかり同じ問題を解きなおすことで理解をしてほしいのです。
 それに、たまたま正解した問題だってあるでしょうから、模範解答と解説を読み込んで、次に同じような問題が出たときにちゃんと対応できるようにしてほしいのです。

 普段からこういった復習を心がけていれば、テスト前に慌てて勉強する必要はないはずなんですよね。

 忘れたころに復習したって効率が悪いですし、やるべきことがたまればたまるほどやる気だってなくなるでしょう。

 それなら、何か新しいことを学習するたびに復習をし、一つ一つを丁寧に理解してから次に行く、ということを繰り返したほうが後々を考えたら楽でしょう。
 一度教わった(解いた)問題が自動的にできるようになっているのであれば、定期テスト前に勉強する必要なんてまったくないでしょうし、勉強法や成績が上がらないことに悩むこともないでしょう。

 そんな超人的な人は滅多にいませんし、残念ながらそこを目指すのも現実的ではありません。
 こんなことは言わなくても多くの人がわかってはいるのだと思います。
 生徒面談をしても復習することは大事だということはすぐに伝わります。

 ですが、頭ではわかっていてもなかなか実行できない、実行できても継続できない人がほとんどです。

 だからきっと、成績を上げられる人と言うのは、この復習の心得をしっかり認識して、自分を律することができる人だと思うのです。

 ここまでは復習の重要性をひたすら語りましたが、最後に復習の具体的な方法を一つだけ紹介します。

 勉強法というのは人によって好みや向き不向きがありますので、こればかりは自分なりの活路を見出してほしいのですが、それじゃ少し無責任な気もするので、自分が学生時代にもやっていて、かつ今でも生徒たちにおススメしている復習のしかたをお話します。

 名称はなんでもいいのですが、「切り貼りノート」というものを作ります。

 間違えた問題(のコピー)を切って、(ノートに)貼る。それだけです。そして「なぜ自分は間違えたのか」という記録と「正しい解き方」「必要な知識」を手書きで書き加えます。

 その行為を繰り返していけば、最終的には「自分が間違えた問題」だけが集まった問題とその解説集ができあがりますし、自分で書いた解法ですから頭にも入りやすいでしょう。

 受験勉強の一環として、この記録を増やし、定期的にそれを読み返すのです。
 そして一年かけてためたものを受験会場に持っていけば、あとはそれを頼って最終チェックをするだけでいいと思います。
 これは「目に見える自分のがんばり」ですから、精神安定剤としての機能も果たせるでしょう。
 実際に塾で取り入れても、多くの生徒はこの作業に夢中になってくれますし、一生懸命やってくれた人ほど、悪い点数を取らないようになりました(残念ながら、抜群にいい点数が取れるようになるとは限りません。復習がメインなので、当然と言えば当然ですが)。

 長くなってしまいまっしたが、以上が「効率的な勉強の仕方」、ひいては「成績を上げるコツ」になります。
 これはあくまでも個人的な意見ではありますが、よろしければ参考にしてください。

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