【あるとないでは大違い】身寄りがない人の支援その⑤【7つの備え】

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皆さん、こんにちは!

過去に何度か記事としているテーマではありますが、今回は備えについて記事にしてみました。

すでに「身寄りがない」、もしくは、何らかの理由があり「親族に頼れない」方のご相談等はたくさんあるんですが、一つ一つ対応しているうちに、「あれ、もうちょっと早めに○○していれば、ここまで困らんかったかも?」ということがあって、自分なりにまとめてみようと思い立った次第です。


身寄りがない方の備え

「身寄りがいない」というは天涯孤独のような人だけではありません。 家族がそばにおらず支援を受けられない人や家族がいても色々な事情からが支援が受けられなければ「身寄りがいない」と言われ、私自身もそう表現することもあります。それは、日常に必ず起こり得ること、例えば銀行からの出勤、風邪を引いたときの看病、ちょっとした買い物のお願い、悩んだ時の相談など様々な局面で、当事者や関係者が「家族がいない」ということに困るからだと思います。

今回は、このような問題が起こる背景は色々あるのだと思うのですが、そっちではなく、どう備えるのか?備えることができるのか?ということについて考えていきたいと思います。

本当にすぐ困る金銭管理

金銭管理は行政や相談機関、サービス事業所がお手伝い出来ない行為の代表格です。もしも、「身寄りがない人」が認知症等で判断能力が低下してしまって、通帳印鑑重要書類を失くすことやATMの操作や窓口の手続きを一人でできなくなってしまったらたちまちに代価手段がないために困ってしまいます

かといって、判断能力が低下してからでは成年後見制度や日常生活自立支援事業などの利用にはある一定の時間がかかり即対応できるわけではありません。

市町村によっては、この辺の課題にすでに対応されているところもあると思いますので、第一義的にはこのような困りごとが出てきた場合は市町村への相談が必要かと思います

入院入所も結構厳しい

身寄りがない方に入院が必要になった場合は、誰が入院の手続きや支払い、病状説明を受けるのかなど、責任を持つのかという問題があります。

施設入所の場合も、すぐではなくても成年後見制度の利用を求められるケースがほとんどになってきていると感じます。そして、後見がつくまでの間にどうするのか?ということに悩む場合もあります。

このあたりの対応については、色々と立場や状況によって対応が変わると思うので一概に問題になるというわけではないと思うのですが、私自身がケアマネとして、相談員として関わるときに「本当にいいのかな?」と思いながら対応してきた経験から、困ることもあるケースなのではないかと考えています。一言でいうと「グレーな対応」というやつです。

もう、どうしようもないのが「身元保証」

上記した、施設入所ですが施設によっては、身元保証人が設定できないと、受診が必要ななった時、なんらか費用が必要になった場合、何かあった時は「誰に言えばいいんですか?」となってしまい、身元保証人が設定できないと申し込みさえ取り合ってもらえないことがあります(あくまで、申し込む側の感想ですので、他にも色々と施設としては気になるポイントがあるのだとは思います・・・・)

あまり、関わりが無くても遠方でもいいので、親族ですということで契約に関わってくれる方がいれば、どうにかなる場合も多いのですが、難しい問題であると考えています

備えとして考えられることも結構多いです
最期をどのように迎えたいのか考えて、エンディングノートなどで意志を明確にしておく

できれば、判断能力が下がった時やもしもの時に備えて「自分が最期の時をどう迎えるか?」ということを考えておくと良いと思います。

「家族に迷惑をかけたくない」と思われる方も多いとは思いますが、迷惑をかけないためには備えが必要です。

市販の簡単なエンディングノートで構わないと思いますので、誰に連絡を取ってほしいのか、お寺はどこなのか、延命治療を望むのか、お葬式はどうしたいのかなど、縁起が悪いことかもしれませんがまとめておくと、残された家族は本人の意思や思いを知る手掛かりになります。

遺言を書いておく

上記のエンディングノートと理由はほとんど一緒ですが、相続財産について意思を残す場合は、遺言を作成しておく必要があります。

遺言を書いておけば、法定相続よりも優先して本人の意思通りに相続をさせることができます(遺留分などはありますが・・・)

遺言については下記のリンクで詳しく記事を書いていますのでよかったらご覧ください


遠方でも家族がいるなら、自分の判断能力が下がった時など「もしもの時」のことなど、意志を伝えて頼んでおく

エンディングノート、遺言を書いておくだけでもいいのですが、できれば、その内容を誰か一人でもいいので伝えて、自分の意思を実行してくれる人がいるとベストです。

任意後見制度を利用する(任意代理も含めて)

自分の意思として、遺言やエンディングノートをまとめたのはいいが、それを実行してくれそうな人がいない方は、遺言なら遺言執行人などをしっかりと法的効力がある形でしておくと安心です。

同じ理由で、判断能力や何かあった時に頼れる親族等がいない場合は任意後見制度の利用を検討しておくとよいと思います。かなり自由度が高く、公正証書を作成するものなので、自分の意思をちゃんと実行してくれます。ただし、やはり費用がかかることはデメリットです。

詳しくは下記のリンクの記事で詳しく書いていますので、良かったら見てください



主治医に、延命や看取りの方法について伝えておく、できれば文書化しておく(DNAR、ACP、人生会議等)

最近では人生会議などで、これまで述べてきたようなことをちゃんと残し、関係者で共有するACPなど概念も浸透してきています。

しかし、まだまだ一般に広く行われているかと言われるとそうではありません。

そして、これも有名ですが日本では「畳の上で最期を迎えたい」というなんとなくの希望がある人は多いものの、実際には90%以上の方が病院で亡くなっています。これは、在宅看取りには訪問診療ができる医師の協力や訪問看護、介護サービス、更に家族の協力なくしては成立せず、かなり、しっかりした本人の意思と家族の覚悟が必要になります

そして。そのような体制を整えるためにはやはり準備が必要です。つまり、具体的に死を意識してからでは在宅看取りの準備は間に合わないことがあるということです。

近隣の方、友人など信頼できる人に「何かあった時にどこに連絡してほしいかを伝えておく」(相談機関や、親族等)

これまで、色々な準備を述べてきましたが準備をしていても誰にも気づかれないのでは、準備した意味がなくなってしまいます。

わが国では、今後人口構造変化し超少子高齢化社会が到来することがほぼ確定しています。(2025年問題というやつです)そのため、お一人暮らしでご家族が遠方であるというケースも多くなってくるでしょう。

遠方のご家族ではそう頻繁に、帰ってくることも難しいため、ご本人の異変にはあまり気づくことができないかもしれません。

そんな時に頼りのなるのは、ご近所づきあいのある方です。なかなか、家庭の事情を詳細に伝えるのは色々と支障があるとおもいますので、「何かあった時に連絡してほしい人」を伝えておくといいのではないでしょうか?

中々、自分の異変には気づけないものですし、認知症であれば「自覚がない」ことが特徴的な疾患なので、そのようなご友人、ご近所づきあいも備えであると言えるでしょう

何か定期的な集まりに参加しておく、社会との接点を維持しておく

更に、何か定期的な集まり、例えば、習い事や自治会活動、お茶会、体操、社交ダンス等趣味の会などなんでもいいので、社会との接点があるといいと思います。

これは、異変に気付いてくれる方を一人でも多く作っておくという意味での備えとなります。

厚生労働省が「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドラインについて」を作っていますが・・・・

基本的には医療機関を読み手として設定しています。医療機関は例えば救急救命などについては、そもそも他の法律もあってかなり整備されている印象です。ただし、慢性期疾患や選択制のある身体侵襲のある検査等医療行為、医療訴訟などへの対応等については、判断能力が十分でない人や意思を表明できない人の権利擁護を主眼とした仕組みが必要であると思います。

また、医療だけではなく、これまで述べた通り「福祉施設」への入所にハードルがあります。ガイドラインでは、成年後見制度の運用等に伴う意思決定支援について盛り込まれていますが、福祉施設の方も身元保証人がいないと困るのは事実なので、やはり、「成年後見制度による支援が開始されるまでの期間」についての支援方策が確立される必要があると思います。

最後に

いかがだったでしょうか?今日は、身寄りがないとたちまち困ってしまう社会となっている現状で、何か備えができないかと考えて無理やり色々とひねり出してみました。このような、個人でできること以外にも市町村によっては身元保証に関する制度や民間の身元保証会社などもあると思います。市町村の方は一度、お住いの市町村に聞いてみてもらってもいいかもしれません。民間の方は費用が高額であったり、かゆいところまで手が届かない、倒産したらどうするんだなど色々課題もあると思いますが、事情によってはマッチするかもしれません。

この記事は、私も悩みながら書いているので、内容についてご意見やご感想、ご質問いただければすごいうれしいです。
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