【知っていると得する】若年性認知症の方のお金に関する制度のあれこれ

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皆さん、こんにちは!

認知症と言えば高齢者の疾患と思われがちですが、まだまだお仕事現役世代の方でも認知症状が出現することがあります。これが【若年性認知症】です。あまりご存知の方も多いとは思いますが、実際にどのような施策制度が利用できるのか?実は年齢が若いだけにちょっと複雑なんですね。特に現役で働いている方の年代で発症するので、所得補償という問題が出てきます。

そこで、今日は、若年性認知症の方にまつわる制度施策についてご紹介したいと思います。

若年性認知症とは、65歳以下で発症する認知症のことです。

認知症は高齢者だけが患うものではなく、若い世代でも発症することがあります。65歳未満の人が発症する認知症を総じて「若年性認知症」と言います。

物忘れが出たり、仕事や生活に支障をきたすようになっても、年齢の若さから認知症を疑わなかったり、病院で診察を受けても、うつ病や更年期障害などと間違われることもあり、診断までに時間がかかってしまうケースが多く見られます。

全国の若年性認知症の方の人数は、およそ35700人であると言われています。

人口10万人あたりの有病率は50.9人と推測されいるので、もし30万人の市町村なら、153人程度は存在するということになります。やや、男性に多い傾向があります。

参考資料:「若年性認知症ハンドブック」(認知症介護研究・研修大府センター2020)

若年性認知症の種類!一番多いのはアルツハイマー型認知症

認知症には様々な類型があり、それは若年性認知症の方でも同じです。

認知症のなかで最も多いのがアルツハイマー型です。
症状全体の60%程度を占めるため、認知症と言えばアルツハイマー型を思い浮かべる人も少なくありません。

その特徴としては、被害妄想や暴言・暴力、徘徊などに発展する可能性もあることです。同時に、介護者の負担も大きくなる傾向にあります。

アルツハイマー型に次いで多いのが脳血管性認知症です。
全体の20%弱と、割合としてはアルツハイマー型の3分の1程度。

脳血管性認知症の一番の原因は生活習慣病です。
高血圧や糖尿病、肥満など、現代人が抱える生活習慣の問題が一因となっており、今後増えることが予想されます。

脳血管性認知症に次いで多いのがレビー小体型。

男性の発症率が高く、女性の約2倍だと言われています。

現実にはないものが見える「幻視」が特徴で、家族は異変に気づきやすいです。
ただし、割合としては少ないため、すぐに認知症と結び付けて考えられることは少ないでしょう。

その次となる前頭側頭型は、症状全体に占める割合としては少ないですが、認知症のなかで唯一、難病指定されています。
初期症状は物忘れよりも人格の変化や異常行動が目立つため、家族は対応に悩むことが多くなるかもしれません。

若年性認知症の方の診断は遅れがち⁉

若年性認知症の方の場合、現役でお仕事や家事をされている方が多いので、認知機能の低下や生活の支障がそのまま「ミス」「無気力」と誤解されがちです。それが認知症のせいとは思い至りません。また、うつ病や更年期障害など他の病気だと思って医療機関を受診しても、正確な診断がでないまま時間が経つことがあります。

病院の先生も万能ではありません。普段の生活の様子がわからないままでは、患者さんが話す内容を信じるしかないので正しい診断に至らないですね(´;ω;`)

周囲の方が「これはおかしいぞ」と思う場合は、できれば受診に同行するか、本人がいる前では話しにくい内容であれば事前に電話や手紙、メモで箇条書きにして普段の生活で支障が出ていることをDrに伝えるなどすると、正しい診断に繋がりやすいです。

若年性認知症の方の生活を支える社会制度(主にお金に関係する部分)

若年性認知症の方は年齢が若く、仕事されているなどご家族の収入源である場合も多いと思います。ここでは、お金のことも含めて、利用できる制度をご紹介します。

①傷病手当金

若年性認知症であることがわかり、もしお仕事がちょっと続けられないというときに、職場に迷惑をかけられないし「退職」という文字がちらつくかもしれません。でも、ちょっとだけ待ってください。病気で十分な働きができないのは認知症であっても、交通事故であっても一緒です。

「全国健康保険協会(協会けんぽ)」または「健康保険組合」に加入している会社や事業所にお勤めの人は、病気や業務外の怪我等で、お仕事をお休みしなければならない場合にその間の生活の保障を行うことを目的として設けられている制度が「傷病手当金」です。三日以上休んだ場合、4日目から支給されます。

申請時期としては、会社を休み始めたらすぐにでも考えましょう!

②精神障害者保健福祉手帳

認知症と診断された場合は、初診日から6カ月程度経過すれば精神障害者保健福祉手帳を申請できます。血管性認知症などで一定以上の身体的障害(麻痺など)があり、障害が永続すると考えられる場合は身体障害者手帳を申請できます。手帳があると税制上で減額免除等も含めて様々な良いことがある可能性があります。

これは、会社員の方には特にご注意なんですが初診日というのが、すごく大事です。次に紹介する障害年金にも影響するので、とりあえず会社に在籍されている方は急いで辞めずに「会社に在籍されている状態」で初診をしてください。お願いします。もうちょっと先で詳しく解説します。

申請時期は、初診日から6カ月後となります

③退職したら雇用保険で失業給付を受けましょう

傷病手当金をもらいながら、状況に応じて可能な範囲で復職できるとベストかと思いますが、なかなか難しく退職となった場合は雇用保険で失業給付を受けましょう!

ハローワークに行って手続きを行う必要があります。

申請時期としては退職後、傷病手当金が貰えなくなる時期です。傷病手当金は受給開始から最長18カ月ですので、期間が終わるころには失業給付を受けることを考えると良いと思います。

④障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金)

障害年金は、病気やケガで仕事を続けることが困難になった人やその家族の生活を支えるための公的年金です。公的年金の受給資格があり障害者となった場合に申請ができます。

障害の度合いにより等級が設けられており、受け取れる金額が違います。




令和2年度の金額
障害等級 障害基礎年金(年間) 障害厚生年金(年間)
1級 977,125円
+子の加算 報酬比例の年金額×1.25
+配偶者の加給年金額
2級 781,700円
+子の加算 報酬比例の年金額
+配偶者の加給年金額
3級 ― 報酬比例の年金額
(最低保証額586,300円)

※障害者手帳の等級と障害年金の等級はイコールではないのでご注意ください

18歳未満の子どもがいる場合には、年金額が加算されます。

申請には、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

①年金の加入者である

初めて診断された日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入している方

②保険料を納付している

初診日の月の2ヶ月前までの加入期間のうち、全体の3分の2以上の保険料を納付している方

③一定の障害状態にある

「障害等級表」で定められた1級・2級にあたる障害がある方

障害状態は、初めて医師などの診断を受けた日から1年6ヶ月が経過して初めて認定されます。

手続きは年金事務所または市町村の年金窓口で行います。必要な提出書類は

年金請求書
年金手帳
医師の診断書 など

年金請求書を提出すると認定審査が行われ、支給が決定すると年金の受け取りが可能になります。

ただ、審査結果が届くまでは約3~4ヶ月かかります。また結果が届いてから受給までも約1ヶ月半かかります。書類を出せばすぐに支給されるわけではないのでご注意ください。

ここでもう一つ注意なのが、障害厚生年金は、厚生年金保険の被保険者加入期間中に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある方が対象となることです。

被保険者加入期間中に初診日なので、退職後に初診日があると障害厚生年金の要件を満たさないんです!

申請時期としては初診日から1年6カ月後が要件となっているのでそれを目安にしましょう!1年6カ月が申請をできる時期なので、決定が下るまでを考えると2年以上はかかる可能性もあります。それまでは、傷病手当金、失業給付などを受ける必要があります。

最後に

いかがだったでしょうか。今回は若年性認知症の方のお金問題に焦点を当てて記事を書いてみました。

参考としてあげました「若年性認知症ハンドブック」(認知症介護研究・研修大府センター2020)にものすごく詳しく若年性認知症の方の支援、受診、お金のことが書いてありますので、ぜひご確認いただけますとうれしいです。
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