雨世様の『絶望(feat.Cereus)』のMV映像を作らせていただきました。
クレジット
Music:雨世 Vocal:Cereus Movie:梓町ると
Illust:chooco Guitar:+*yuusei
Recording:藤井邑親〈studioFine〉 Jacket Design:マッキー
今回はこちらの裏話です。
サビの文字の演出
まず前提の話なのですが、この曲はとあるシリーズものの小説がモチーフとなっております。
その小説の表紙はタイトルの配置がシリーズ通して特徴的なんですよね。
河野裕『いなくなれ、群青』 新潮社、2014年
※以下文章すべてに言えますが、小説のネタバレはそんなにないものの、当然のようにエッセンスは混ざっているので、気にする人は薄眼で見てください。
今回の曲の題材はこれではなくて、同シリーズの別の本なのですが、梓町この表紙がすごく好きで、過去にこの表紙見て買ったことあります。青はいいね。
なので、この件の話が来た時に絶対サビにこの表紙のリスペクト入れたろ~と思ってました。
一部抜粋ですが、こんな感じです。明朝体に部分的にぼかしかけたりかけなかったりして意識しています。
ミラー描写その1
サビには一瞬だけミラー演出があります。
これは小説読んでいるとわかる部分ですが、できるだけオブラートに包んで言いますと、性格や感情のいろんな側面が分離してしまっている状態を指しています。
ミラー描写その2
似たような場面で、「分かってる」の文字が水面のようなミラー演出になっている場所があります。
これは「分かってる」理性的な部分と、「分かってる(んだけどでも……)」と思ってしまう感情的な部分の二つを表しています。
タイトル部分の演出
このMV始まってすぐに「絶望」と表示されるカットがありますが、「絶望」の文字の真上で星が光ってる演出があります。
なんでこんな目の前が真っ暗になりそうなワードの上でめっちゃ星光ってんの?って思う人がいるかもしれませんが、これはわざとです。
理由はこんな感じ。
1 対比
一般論として、相反するものを並べておくとそれぞれの差が際立つため。
2 見方によってはそれは希望である
この作品には少女と少年の二人の人物が登場していますが、少年の方に注目して考えてみます。
・少年はある星が好きで、星に希望や憧れの感情を持っている
・正義感の強すぎる少女にも同じような目を向けている
・ただし、今の少女はかつての様子とは異なっていることが発覚してしまったため、元に戻ってほしいと思っている
・「絶望」は元に戻すための、ある種のキーワード
ざっくりいうと、少年にとっては「絶望」=「希望(少女を元に戻してくれるから)」であると言えます。
そのため、同じく希望の象徴である星を並べることで、強調しています。
最後のタイトル表示が……
最後にも、曲冒頭と同じようにタイトルロゴが出るのですが、少し雰囲気を変えています。
変更点としては、黒帯の範囲が狭まったことと画面全体の彩度が上がったことが挙げられます。
こうすることで、画面全体が広く鮮やかになります。どこか冬の寒空特有の閉塞的だった冒頭と打って変わって、最後はさわやかな解放感で締めくくられるわけです。
以上、少しだけですが裏話でした。ありがとうございました。