【投資・業界分析】リチウムイオン電池

記事
マネー・副業
今までリチウムイオン電池の主用途は携帯電話・PCなどのIT機器が一般的だったが、近年はHEV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)など車載用との市場が急速に拡大し始めている。EVは一台に大量の電池を搭載する為、普及が本格化すれば、電池需要は爆発的に増える。

リチウムイオン電池はEVの走行距離や安全性を左右する上、車両の総原価に占める構成比も高い。そこで、自動車メーカーは本格的なEV時代の到来に備え、性能のいい電池を少しでも安く、安定的に調達するため、電池メーカーとの提携を進めている。
その中心にいるのが、車載用で世界首位の中国CATLとなっている。中国の地場自動車メーカーとの取引で技術を磨き、中国市場で欧州メーカーのEVにも電池を供給。日経自動車大手も複数社がCATLと提携し、ホンダは2020年に600億円規模の出資にまで踏み切った。CATLは欧州にも巨大電池工場を建設中で供給市場を世界へと広げつつある。日本勢では米テスラ、トヨタ自動車を顧客に持つパナソニックが車載用で世界2位だが、テスラ向け以外の車載用リチウムイオン電池事業は20年4月にトヨタとの合弁形態に移行。今後はトヨタ手動で生産能力拡大などに積極的な投資を行っていくと思われる。
fc5aa8084bf32445fa9a55014b3c50fc.png
電動車の本格的な普及はこれからだが、すでにEVやPHEVなど車載向けリチウムイオン電池の2019年出荷量は、スマホ・IT機器など民生用途の2倍超にまで拡大した。パナソニックを除けば、上位の顔ぶれは中国・韓国勢が中心となっている。日本勢の存在感は年々薄れている・・・。

リチウムイオン電池の特徴は?

リチウムイオン2次電池は、電解液を介してリチウムイオンが正極・負極間を行き来することで充放電が行われる。従来のニッケル水素電池などに比べてエネルギー密度が高く、より小さな電池で済む。また、電圧が高い上、事故放電も少ない。
現在のEVは大量のリチウムイオン電池を搭載するが、電池の製造コストが高止まりしているため、ガソリン車に比べてEVの車両価格は高い。そこでコバルトをはじめ効果なレアメタルなどを正極材料に使用しないリン酸鉄系のリチウムイオン電池への注目度も高まっている。

主要企業は?

CATL
ATLから車載電池部門が独立し、中国内のEV用途で急成長。中国生産のテスラ車にも供給開始。中国外でも欧州車メーカーへの供給に向け、ドイツに巨大工場を建設中であり、主な供給先として、上海汽車、吉利汽車、広州汽車、東風汽車、フォルクスワーゲン、BMW、ダイムラー、PSA、ボルボ等が挙げられる。

6752 パナソニック
日本で唯一世界と戦える車載用電池企業と言っても差し支えない。米テスラ・トヨタ自動車が大口先。09年に三洋電機を買収し強化。テスラ向け以外の車載用リチウムイオン電池事業は開発。製造機能をトヨタとの合弁に移管した。
テスラはパナソニックとギガファクトリ―を運営しているものの、CATLからの調達も始まった。
2020年に発足した車載用角形リチウムイオン電池を開発・生産。全個体電池の開発を行うプライムプラネットエナジー&ソリューションズに49%出資している。
また、HEV・PHEV向けのニッケル水素電池を中心に生産しているプライムアースEVエナジーにも約20%出資している。

6502東芝
安全性を高めた独自製品を展開。小型車向けに注力し、スズキ・デンソーとインドで合弁電池工場を立ち上げた。
主な供給先にスズキ・三菱自動車・日産・マツダがある。

LG化学
車載用は欧州、米国の自動車メーカー向けが中心となっている。中国生産のテスラ車向けに供給開始。スマホ用でも世界2位。主な供給先にフォード・ルノー・GM・フォルクスワーゲン・現代自動車・ボルボ・テスラが挙げられる。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す