慶應・医 小論文

記事
学び
2019年度、2017年度に指導した受験生が合格しました。

慶應大学医学部医学科は、小論文の過去問を公表していません。また、当ページでも過去問は掲載しておりません。過去の問題については学校や予備校等から聞いてください。ネット上にもある程度の情報はあります。

近年の傾向として、コミュニケーションを意識した出題が多い。2017年度は、実際の医療面接の場面と思われる。2016年度は赤ちゃんポストに赤ちゃんをおいてきた友人、2015年度は医療ではないが、私と甥という、明らかに立場の違う情報の非対称性の場面におけるコミュニケーションである。ネット上で公開されている解答例には、情報優位者として知識を伝えるものがあるが、こうした答案が求められているとは考えにくい。では、どのように回答するべきであろうか?

コミュニケーションは医学で近年重要度が増してきている。2001年頃から日本の医学部でも導入されたOSCEは、臨床能力を測る試験である。OSCEでは、医療面接も項目となっているが、そこで特に重要なのが「共感」であると言われている^1。共感的態度には、「促し」や「繰り返し」などの技術もあるが、小論文では最も基本的な共感を問われていると考えられる。

^1. 南郷栄秀 (2013) 医療面接の基本と客観的臨床能力試験(OSCE), 臨床評価, 40巻2号, 395-400

2017年度 解答例

問1 お金が払えないからほっておいてもらいたいのですね。その気持ちはわかりました。お金のことは考慮しますし、病院の相談員も相談に乗ってくれます。お薬はなるべく少なく、ジェネリックを使います。また、高額医療費制度などが使えるか調べましょう。ただ、いますぐに治療する必要があるので、治療を終えてからお話ししませんか。あなたをほっておきたくはないのです。

問2 日本は皆保険制度により、通常の医療は誰でも保険の恩恵を受けることができる。一方、海外では、医療費が実質無料の国もあれば、保険制度が整っていない国もある。日本の制度は、極めて公平にできているように思われる。かかった費用の3割を負担することで、標準的な治療を受けることができるのだ。さらに、高額医療については上限額が定められている。

 しかしながら、この公平性にも問題がある。例えば、若年性のがんでは、離職を余儀なくされ、収入が途絶えてしまうこともある。収入がない中では、たとえ3割といえども大きな負担になるだろう。出産などのように、保険が適用されないこともある。

 日本では、医療技術の進歩とともに、救える命が増えてきた。しかしながら、慢性病も増える結果となっている。今後は、生活習慣病をはじめとした予防に力を入れることが必要であろう。これは、医療費を削減するだけでなく、健康寿命の延伸にもつながり、QOL 維持に繋がるだろう。
この続きは購入すると読めるようになります。
残り:1,249文字
慶應・医 小論文 記事
学び
500円
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す