今回は、学生によくありそうな質問に答えていこうと思います。
かく言う自分も、学生の時に思った疑問でした。
結論から先に言ってしまうと、専門学校に行き、ゲーム会社に入って14年働いている身としては「入って良かった」というのが率直な感想です。
理由は3つあります。
①技術を学べた
②頑張る環境を得られた
③就職の糸口を得られた
それぞれお話していきます。
①技術を学べた
私が高校3年生だった頃、まだyoutubeでお絵描き講座が全くなかった頃の話です。
中学生、高校とゲーム、アニメ漫画が大好きで、その影響で絵を描くようになりました。その頃の私が得たゲームの仕事になるものの智識と言えば「ファイナルファンタジー7のキャラクターは野村哲也という人が描いている」だったり「テイルズシリーズはいのまたむつみや藤島康介が描いている」という、キャラクターデザイナーと呼ばれるものでした。
アウトプットされた作品のことしか知らないので、その作品がどのような人数規模で、どのくらいのお金をかけてつくられたかなんて、知らないし、またそういった情報をどこで得たらいいかもわかりませんでした。
キャラクターデザイナーという職業が生活するのにほぼ成り立たないポジションだと言うのにも就職した後に気付くことになります。
でも、そういうものだと思います。学生はどんな情報から得ていけばいいかもわからない状態でしょう。
そんな学生だった私が、専門学校に入ることで就職に必要な技術を得ることが出来たのは幸いでした。
勿論、努力は必要なので、専門学校に入ったからと言って必ず技術が身につくものではありません。それこそ、授業のない日も四六時中、絵を描くくらいの行動力は必要だと思います(実際そうしていました)。
それでも、高校を卒業して、バイトや就職をしながら独学で絵の勉強をするよりも、業界で働く可能性が近かったのは間違いないと思います。
それが第1の理由です。
②頑張る環境を得られた
第2の理由は、頑張る環境を得られたことです。高校時代、周りでイラストレーターになろうと言う人は誰もいませんでした。
なので、進学をするために受験勉強を頑張る周りの友人達とは話が合いません。
独学で絵を描いても、楽しい以外のことは全くわからず、このまま頑張っていて、やりたいことに近づくのかどうかもわかりませんでした。
学校に入って良かったことは、絵だけを描く環境にいられたことと、友人も同じ志を持っていたのでモチベーションを保ち続けられたことです。これは学校に入って得られた大きなメリットだと思います。
③就職の糸口を得られた
第3の理由は、就職に関してです。専門学校も2年生を半分過ぎると、ポートフォリオを準備して就職先を探す動きをするようになります。
まず、この「就職するための必要な準備と動き」が、独学の時だと全くわかりませんでした。
今だと、企業がどういう人材を求めているか、採用する側になって分かるようになりましたが、当時は何もわかりません。
先生に言われたようにポートフォリオを用意して数を当たる。
2年かけて上達したとは言え、イラストが特別上手かったわけでもないので、それくらいしないと受からなかったのもありますが、独学だったらポートフォリオが形にすらなっていなかっただろうなと思うと、学校に入って頑張ったことがなんとか実を結んだんだなと思いました。
以上、学校に入って良かった3つの理由です。
結局、専門学校を活かすも殺すも自分次第なのですが、就職のきっかけを掴む可能性のある場所だと思います。
この手の質問には、「学校なんて行かなくてもプロになれる」という回答があると思います。
イエスかノーで言えば、イエスです。
ただ、個人的には「なれる人もいる」という感覚です。独学でプロになれる人は、独りで毎日絵を描き続けられたり、自分の絵をどう売っていけばいいかを考えられたり、とにかく技術と自分を売ることを磨くのが貪欲な人です。
あと、周りへの感心が凄いです。
企業で働くには、絵が上手いだけでは足りず、そこにはコミュニケーションが欠かせません。イラストを描けるだけでは企業に就職できないのも、この業界の難しいところだと思います。
遅刻や無断欠勤、コミュニケーションが最悪でも絵の仕事がもらえる人は、描いたイラストが支払ったコストの何倍にも利益になって還ってくる人だけです(やり取りする側は嫌だと思いますが)。他者と圧倒的な画力を見せつける人だけが出来る技であり、誰でもマネできるものではありません。
絵が上達するには、ある程度の期間が必要です。期間を集中して、就職に向けて学校に入って頑張る、そういう選択肢はありだと思います。
オススメしないのは、とりあえず学校に入る、です。学校がイラストのプロに
してくれるわけではないので、受動的だと学校に行くのもつらくなると思います。
業界に入ることはスタート地点であり、ゴールではありません。その先も大変なことが色々あります。けれど、一度きりの人生、やってみたいならチャレンジしてみる。人生の中に、そんな瞬間があってもいいんじゃないかと思います。