Windows10でデジタル通信モードFT8を使う

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Windows10でデジタル通信モードFT8を使う

Windows10 でデジタル通信モードの FT8 を使うための設定を詳しく紹介します。ここのソフトウエアの設定自体は簡単ですが、設定や立ち上げの順番なども重要なのでその詳細をまとめてみました。


シリアルポートのエミュレータと仮想ケーブル

Virtual Serial Port Emulator(VSPE)と仮想ケーブル(V B-AUDIO)を予めインストールします。 前回も紹介していますが、ダウンロードはそれぞれの Web サイトからできます。

* VSPE(シリアルポートエミュレータ)
* VB-AUDIO (Virutual Calbe アプリ)
Virtual Serial Port Emulator (VSPE)を起動して設定をします。設定した内容を保存しておけば、保存した設定をクリックするとその設定で立ち上がるようになります。設定は、シリアルポートのペアを作ります。

メニューから、「Device -> Create -> Device」で 「type Pair」から、COM ポートを選択して設定します。設定したら設定を保存します。これで次回以降は、この保存したファイルをクリックすれば、再設定の必要はありません。COM ポートの番号は、実際に存在するポートと重複しなければ OK です。多くの記事は、COM5 と COM6 をペアにしているものが多い様です。私もこれに倣って、COM5 と COM6 で設定しました。

ビットレートは、「57600bps」に設定します。

起動は、VSPE を最初に起動します。

SDRuno の設定
普通に SDRPlay をラジオの様に利用する場合は、普通に起動すれば利用できます。 FT8 などのデジタルモードで利用する場合は、上にも書いたように、最初に VSPE を起動して、その後に、SDRuno を起動して、受信設定(RX setting)を変更します。

受信コントロール(RX control)の「OUT」タブで、Virtual Cable の設定をします。上の仮想ケーブル(VB-AUDIO)を利用しているので、V B-AUDIO を選択します。「CAT」タブは、VSPE で設定した COM ポート(私の設定では COM5 と COM6 に設定しているので、COM5 を選択)、データレートは VSPE と同じ「57600bps」を選択します。これで、メインのパネルの「PLAY」をクリックして処理を開始すれば OK です。

WSJT-X の設定
最後が WSJT-X と言うデジタルパケットの処理ソフトの設定を行います。

「File -> Setting」で設定画面を開いて二箇所の設定が必要です。

最初が、「Audio」タブの設定で入力(Input)と出力(Output)を指定します。これは、メニューから入力は「CABLE Output (VB-Audio Virual Cable」を選んで、出力は「CABLE Input (VB-Audio Virutal Cable)」を選択します。

次に、「Radio」タブの設定です。これは、「Rig(無線機の事です)」に、Kenwood TS-480 と言うトランシーバーを取り敢えず選択して設定します。シリアルポートに今回の例では「COM6」を選択して、データレートは先程と同様に「57600 bps」を指定します。「PTT Method」は「CAT」を選択します。

以上で設定は完了です。

FT8 の周波数
さて、実際にデジタル通信を受信するには、SDRPlay にアンテナを接続して周波数を合わせる必要があります。 実際は、通信を行うための手段ですが、今回は SDRPlay と言う SDR(ソフトウエアラジオ)を利用しているので受信のみ可能です。 受信だけしかしない場合は、特に免許は必要ありません。

アンテナも送信しないので適当な線を繋ぐだけでも受信可能です。電線を買ってきて、数メートルの簡易アンテナをできれば屋外に設置すると受信可能です。FT8 の利点は微弱の電波でもデータを拾えるところにあるので、簡単なアンテナでも海外からの電波を拾える可能性がある点です。利用する周波数は国際的に暗黙の取り決めがあって、その周波数は WSJT-X で選べるようになっています。2021 年 12 月現在は、短波帯の高い周波数(21MHz や 28MHz 帯など)は、太陽黒点の数がまだ低いのであまりコンディションはよくありません。

比較的安定して聴けるのが 14MHz 帯で、14.074MHz を選んで聞くのが良いかと思います。

WSJT-X 側で周波数を指定すると、SDRuno の周波数が自動的に変更されて受信できるようになっています。

ウォータフォールという表示が SDRuno と WSJT-X でされているので、通信がある場合は違う色で表示されるのでわかります。 上手くデジタルパケットを拾えると、コールサインや時間などが WSJT-X 上に表示されます。

コールサインを見ると、どの国のアマチュア無線局かがわかります。今回試した例では、アメリカ西海岸からアフリカの通信を拾うことができました。

まとめ
今回は、Raspberry Pi での FT8 の設定がまだ上手く行っていないので取り敢えず Windows10 上で設定を行う方法を紹介しました。 Windows の設定は、ソフトのインストール自体はとても簡単ですが、ソフトの設定とその立ち上げの順番が結構ポイントです。

この例では、FT8 の受診だけですので、特別な免許は必要ありません。 実際に通信を行うには、アマチュア無線の免許を取ってコールサインを取得する必要があります。


通常、海外との通信が可能な短波帯の場合、アンテナが大型になりますが、デジタルモードを利用すると比較的簡単な設備で海外との通信が可能になります。アンテナも車につけるようなアンテナでも可能性があります。

現在は、Windows のノート型の PC で試していますが、Raspberry Pi で実現できると、小型で安価で静かな信号処理が可能になるので実用的です。もう少し調査してまとめてみる予定です。いくつか事例は報告されている様ですので技術的にはできるはずなので引き続き実験していきます。
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